7話
「せ、生存者だ!!」
「そ、そんな……」
優は、暗がりの中に走る光を見つけた。
あれは――助けを呼ぶサインだ。
「助けなきゃ!!」
……そう、私は知っている。
優くんの性格なら、放っておけるわけがない。
たとえ、相手が誰であっても――犯罪者以外なら。
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「お兄ちゃぁぁぁん!!」
「……妹!?」
まさかの声に、優の顔色が変わる。
え? ま、マジで? よりによって……妹ちゃん!?
「良かった、本当に……ほんっとうに良かったよ!!」
「うん……俺も。ずっと心配してた。生きてて……本当に……」
(……優くんは、この数日、春を守ることに必死で、妹のことはあえて思い出さないようにしてた。それが今、全部崩れ落ちたように――優しい顔で、泣いている。)
「その……妹ちゃん、なんだよね。……可愛いね」
春が笑顔で言った、その瞬間――
「がるぅッ!!!!!」
「……えっ?」
優が慌てて止めに入る。
「ご、ごめん春。妹は……俺の近くにいる女の子に、ちょっと……威嚇癖があるんだよね……。俺のことが大好きすぎて……」
(あっ、察した)
(これは、アレだ。ブラコン)
(いや、優くんが兄なら、そりゃそうなるかもしれないけど……)
春は、静かに問いかけた。
「……ま、まさか……血は繋がってない……とか?」
優は照れたように笑った。
「そうだよ!よくわかったね!」
その瞬間――春の世界に、ヒビが入る音がした。
(そんな……)
(じゃあ、何の障害もないじゃない……!)
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妹が、満面の笑みで優に抱きつく。
「お兄ちゃん、こんな世界で……もう二度と会えないと思ってた。だから……お兄ちゃんだけ居れば、もうそれだけでいいの」
「この世界は、私にとって――天国だよ」
春は、笑顔を崩さない。
けれど、心の奥に沈んだ想いがひとつ、確信へと変わった。
(私以外にも……この感情を持っている女の子がいたなんて)
(でも……それが、よりによって……義妹なんて――)
――これは、運命の戦争だ。
命を懸けた「好き」の戦いが、今、始まる。
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