6話
「あああああああああああっ!!」
突如、遠くから響く悲鳴。
「……今の、なんだ?」
「たぶん……ゾンビの声だと思う。ちょっと見てくるね」
春は微笑みを浮かべながら、足音を立てずに廊下を進んでいった。
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「……あーあ、壊れちゃったか」
物置の奥、配線が散らばった床の前で、春が小さく肩をすくめる。
そこには、本来は“もしもの時”のために用意していたはずの簡易自爆システムがあった。
だが、何らかの衝撃で作動してしまったらしい。
その中心には、炭のように黒く焼け焦げた人影がひとつ。
「……秋ちゃん、我慢できなかったんだね」
春は、まるでゴミを見るような目でそれを見つめた。
「また、優くんを口説こうとしてたんだ……本当に、ネズミみたい」
小さく息を吐き、手袋を外す。
「仕方ないな。面倒だけど、また“改造”しないと」
春はすぐそばにうずくまっている、泣きじゃくる女子を見下ろす。
「じゃあ、あなた……次は“カメラ”の役、お願いね」
その子の目からは、何も言えないまま大粒の涙が流れていた。
――新たな“人間カメラ”が、またひとつ増えた。
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