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つれづれな詩たち

無音

作者: 風蘭

窓を打つ風に耳を澄ます

いつか囁かれた言葉を拾うように

曇ったガラスの水滴を指でなぞって

冷えていく指先を握り込む

祈っても願っても届かない

届かない言葉を連ねることに疲れて

物言わぬ硝子の冷たさに

私も物言わぬまま

赤くなった指先を

そっと握り締める


窓を打つ雨に耳を澄ます

いつか流された涙をぬぐいたかったと

曇ったガラスの水滴を指でなぞって

滴り落ちる水を集める

祈っても願っても届かない

届かない言葉を連ねることに疲れて

物言わぬ冷たい硝子に映る

物言わぬ私の冷たさに

濡れたままの指先を

そっと嫌悪する


言葉にならない感情に窒息する

暗い水に溺れるように

縋るものを求めることも出来ずに

濁流に流されていく

祈ることも願うことも

手放したものの中に残してきてしまったから

伝え方も分からずに

言葉にならない思いの中を彷徨い続ける


窓を打つ音に耳を澄ませる

曇った硝子の冷たさにすくんだまま

開くことのない窓の前で

じっと耳を澄ませる

そっと目を伏せて

残された温もりの手触りを探してみる

閉ざされた窓の外はずっと嵐の気配

冷え切った窓に

日差しはまだ遠く

私はただ 聞こえない足音に

じっと耳を澄ませる

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