表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キョウアイ  作者: 瑞葉楓
1/1

キョウアイ 第一章

注意

①このお話はLGBT、BLの要素を含みます。ご理解の上でご閲読ください。

②こちらは始まりの一部分のみの掲載です。続きも今後載せていきたいと考えています。

③初投稿なのでお手柔らかにお願いします。


ご感想お待ちしております。


【登場人物説明】

山川 楓(20)

大学二年生、友達想いで優しい。至って普通の大学生。

金子 葵(22)

温和でおとなしい。家庭環境の影響で精神病を持ち、人付き合いは苦手な部類

奥津菊也(18)

元気で賑やかな関西出身の最年少。山川の元カレ。

嫉妬魔で溺愛家でもある。

〇アパートの一室(深夜)

 洗濯物やごみなどが散乱している

 窓際に立つ山川楓(20)の姿

山川「共愛。それは共に愛し合うこと。

   理想の世界は未だ見えなかった」

(OL)開いた窓、窓は曇っている

  曇った窓に「共愛」の文字


〇アパートの一室(深夜)(回想)

 窓際に立つ金子葵(22)の後ろ姿

金子「狭隘。狭くゆとりがないこと。

   僕たちみたいな異常者には

   生きづらいんだ」

 (OL)開いた窓、雲っている。

 曇った窓に「狭隘」の文字


〇奥津菊也(18)の部屋(深夜)

 何も置かれてない部屋、小さな窓が

 ぽつりと1つある。部屋の隅で膝を

 抱え込む奥津の姿。足元には携帯

 携帯の画面には仲睦まじい家族写真

 その横にストラテラと書かれた薬

奥津「狂愛。狂った愛情、俺自身や。

   ただ愛されたかったんよ」

 奥津、ストラテラを1粒飲む

 その後、大きくため息

奥津「(啜り泣きながら)孤独は嫌や」


 (OL)ストラテラの薬の包装シート

 空の包装シートと家族写真

 咳混じりの嗚咽が響くと同時に

 血が携帯に飛び散る


〇タイトル

 携帯に吐き出された血から白い文字で「キョウアイ」と浮かび上がる(FO)


〇山川の部屋(早朝)

 早朝4時、綺麗に片付いた部屋。

 窓からレース越しに外の光が部屋を

 薄暗く照らす。

 山川と金子ベッドに二人で寝転ぶ

 ベッドの右横からのアングル

山川「ゲーム終わり!もう寝る」

金子「かえちゃんもう寝るの?」

山川「葵先輩もう眠そうじゃん。寝ようよ」

金子「うーん、眠くはないけど…

山川「……やっぱ寝ない」

金子「どうしたの」

山川「葵先輩、あした帰っちゃうでしょ。

   (と言いながら抱きつく)」

金子「寂しくなっちゃった?」

 山川、無言でうなずく

 金子、山川の頭をなでる

山川「……なに」

金子「不貞腐れてる?」

山川「もう寝ちゃうでしょ」

金子「あーあ、拗ねた」

 金子、軽く抱きしめる。しばらく無言

 しばらくして鳥が鳴き始める

山川「(ぼそりと)ずっとこのままでいたい」

金子「……かえでが好きなのかもしれない、僕」

山川「(唖然としながら)葵先輩!?」

金子「僕、かえでがすきだよ。」

山川「(戸惑って)あ……え、あぁ……えっと」

 ゆっくりと布団から起き上がる

 金子に背を向ける

山川「……付き合うってこと?」

金子「かえ、僕のこと好きでしょ?」

山川「うぅ……」

金子「でも、かえは親に言ってるよね?自分の話」

山川「言ってあるよ。ママが一番安心できる」

金子「いいなぁ……優しいね」

 金子、窓の方を向く。しばらくして

 金子の携帯のアラームが鳴る

金子「(スマホの画面を見せて)もう朝だよ

   ほら6時」

山川「ほんとだ。じゃあ葵先輩と僕は

   今日の6時から恋人だね」

 山川、スマホのカメラで二人を映そうとする

金子「二人だけの秘密、って約束だけどね」

 金子、カメラ映り写真を撮る

 窓をバックに映り二人が笑っている

 山川「付き合った秘密の記念の証」

 カメラが引き、逆光でシルエットに

 なる山川と金子。二人、口づけをする

 しばらくして元のアングルに戻る

金子「なんか急に学校行きたくなくなった」

山川「あ、そっか。葵先輩部活だったね」

山川「(何かを閃き)そうだ!」

金子「かえちゃんなんか思い出した?」

山川「今からいこ!ディズーランド!」

金子「え、いまから!?」

 支度し始めようとバタバタする

 山川と金子(FO)


〇学校 図書室(昼)

 休み時間、静かな室内

 遠くから話声がうっすら聞こえる

 金子、目の前に本を置き、座る

金子「うーん……」

 扉の開く音と同時に山川が登場

 片手には本を持っている

山川「(金子のいる方向に向かいながら)

   葵先輩、何の本読んでるの」

 金子の後ろから背伸びして覗く山川

金子「今ちょっと課題で必要な本を探してる」

山川「放課後でいいんじゃないの?」

金子「部活だから厳しいかな……」

金子「(振り向いて)そーれに、先週は部活

   休んじゃったからね」

山川「(ムッとして)でもディズーランド楽しかったじゃん」

金子「確かに楽しかったけど、僕部活休んだ

   こと滅多にないから……」

山川「部活行きたかったんなら

   あの日行けば良かったのに」

金子「かえちゃんまたそうやって拗ねる

  (立ち上がり本棚まで移動)」

山川「拗ねてませんー!(喋りつつ金子とは

   反対の方向の受付へ歩いていく)」

 金子、本を探す為にしゃがむ

金子「んーと…さっきここら辺に……」

 金子の後ろに謎の人影

金子「あった、これだ」

奥津(声)「あおちゃんせーんぱい」

金子「(本を落として)びっくりした……

金子「(振り向いて)奥津君かぁ」

奥津「(げらげら笑いながら)驚きかた

   おもろいなぁあおちゃん先輩

   ビクってなってもうてたで」

金子「奥津君ってそういうの得意だよね」

奥津「そういうことってなんや?」

金子「人を驚かせるのが上手いよね、って」

奥津「そりゃあそうよ、ええやろ!」

金子「良くはないけど…どうしたの?来るの珍しいね」

奥津「あぁ!せやせや!(小さい鞄を渡す)」

奥津「あおちゃん先輩へのプレゼント~」

金子「(ニコリとして)あぁ、ありがとうね」

 受け取る二人を後ろから睨む山川

奥津「ところであおちゃん先輩なにしよるん」

金子「課題で必要な本を探しに来てたんだよ」

奥津「おぉ、真面目やなぁ!本見せてや」

 金子と奥津、しゃがみ込み本を見る

 奥津は金子の横顔をじっと見ている

 後ろから見る山川、図書室を去る

 金子は気づいていない

金子「…って感じだけど、ずっと顔見てたよね」

 チャイムが鳴る。奥津はハッとする

奥津「(制服を脱ぎながら)あおちゃんの横顔

   なんか綺麗やん。わかる?」

金子「綺麗かなぁ…?って、体育なの?!」

奥津「(遮るように)あおちゃん先輩、これ

   放課後、部活の時に!」

金子「着替えここでしないの!…んでしかも

   僕の体操着じゃん!」

 無視して大急ぎで去る奥津

金子「(笑いながら)ほんと世話の焼ける後輩だなぁ」

金子「(荷物を片付けながら)楓…?」

 カメラ、右に移動し壁を突き抜け

 廊下を写す。

〇学校 図書室前 廊下

 壁を突き抜けたカメラ

 金子の真裏の壁越しにもたれる山川

 埃っぽく杜撰な机と椅子

山川「あいつ、葵先輩と……(舌打ち)」

 しゃがみ込み頭を抱える山川

 (OL)

 片づいた机と椅子、荷物を抱えたまま

 しゃがむ山川を照らす夕日

 しばらくして音楽と下校の

 アナウンスが流れ始める

山川「(立ち上がり荷物をもちながら)……もう、出ないとダメか」

 曲がり角から金子が出てくる

金子「ここにいたんだ。いつも校門の前に

   いるから探しちゃったよ」

山川「……ごめん」

金子「いや、ぼくこそお昼はごめん。

   後輩が急にさ…」

山川「(遮って)菊也でしょ」

金子「え?」

山川「(低いトーンで)奥津菊也」

金子「知ってるの?」

山川「(歩きながら)知ってるも何も……」

山川「あいつ、元彼なんだよね」

 渡り廊下の真ん中で立つ山川

 夕日がライトのように山川を照らす

金子「えっ…?」

山川「なんか渡したり一緒に本読んだり

後輩にしては随分仲良さそうだね」

金子「いや、落ち着いて聞いて」

山川「(すぐ遮って)あいつサプライズとか

   好きでさ、驚かしたり、プレゼントを渡したり、急にキスしたり」

金子「(低いトーンで)かえで」

山川「なーに?“あおちゃんせんぱい”」

金子「(機嫌悪そうに)そういう事言わないで」

山川「菊也と付き合いたいならそうしたら?

   どうせあいつ彼氏いないだろうし」

金子「(本を地面に叩きつけて)うるさい!」

 数秒の沈黙

山川「あっ……おい先輩?」

金子「そうやって気にくわないと楓は過去の話するよね

   そんなに過去が恋しい?元彼が…奥津君がそんなに恋しい?」

山川「……(言葉を失う)」

金子「ディズ行ったときも過去の話ばっか!」

 金子、我に返るようにハッとする

 しばらくの沈黙

金子「……どうせ僕は誰にも好かれない

   親に似るんだね、子供も」

山川「葵先輩まって!」

金子「(遮って)楓は何も知らない!

   幸せ者は幸せすらわからなくなる…

   同じだよ楓も!」

 金子、怒りながら去っていく

山川「……先輩」

 山川の背後遠くに見える半袖の服を

 着た人影

 落とした本の「しあわせ」のタイトル

 タイトルの下に書かれた

「今までの自分にサヨナラ」という

 サブタイトル(FO)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ