第4話 クラスメイトの悲劇 ざまあ!
雨宮悠馬が追放されてから数時間後。クラスメイト達は城にある訓練室に集合していた。彼らの前には王国軍の精鋭部隊隊長が立っている。
「さて。これから君たちには訓練をしてもらうわけだが、そのまえに神器を見せてほしい。俺はまだ君たちの神器を見てないからね。君たちの神器を見て、訓練コースを決めたい。まずは君から」
「了解。行くぜえ、神器発動!」
隊長に言われ、クラスメイトの1人が神器を生み出した。彼は雨宮悠馬をいじめていた不良の1人であり、優秀な神器を持っていると、城の皆から期待を持たれていた。しかし。
「……は!?」
彼の出した神器、エクスカリバー。その剣は刀身がボロボロになっており、一振りしただけで壊れてしまいそうなほどに危うかった。
「ど、どうなってんだ!? なんでここまでボロボロなんだよ!」
「どういうことだ。王の話では、みんな素晴らしい神器を生み出したと聞いてるが。君、ステータスを見せてくれ」
「おう。ステータスオープン!」
彼がそう言うと、ステータスが表示される。しかしそれは
神器 エクスカリバー
攻撃力 750
防御力 480
魔力 520
昨日見たステータスの10分の1に減っていたのだ。
「な、なんでだよおおおお! なんでステータスがちっちゃくなってんだ!」
「おいおい。これは酷すぎるぞ。こんなのでは魔王軍と戦うどころか、魔獣を倒すことも出来ん。それどころか訓練に使うのも無理だ。みんなの神器を見せてくれ!」
他のクラスメイトたちも神器をその場に出現させる。だが、彼らの神器も不良の神器と同じくらいにボロボロであり、訓練にすら使えないほどに酷い有様だった。
「はあああ!? なんでこんなことに」
「嘘!? こんなに弱く無かった筈なのに」
「どうすんだよ! これじゃあまともに戦えねえぞ!」
クラスメイト達は阿鼻叫喚となり、王国軍の精鋭部隊隊長はそれを見ていることしか出来なかった。
「どういうことだ。こんなにもまるで、何らかの加護が外れたかのようだ」
男の読み通り、クラスメイトが弱体化したのはカルラの加護が外れたことが原因だ。卵状態の時は無差別に加護を振りまいていたため、クラスメイト達の武器も強化されていた。しかし、カルラの加護が外れたことで、その強化は無くなり、神器は大幅に弱体化してしまったのだ。
「隊長ーー! 大変ですーーー!」
訓練室にいきなり兵士が入り、隊長の元へ走ってきた。
「なんだ!? 今忙しいのだが」
「ざ、財宝庫が……財宝庫が灰にされています! おまけに国王の服が燃やされているのです!」
「なんだとおおおおお!? そいつはマジなのかああああ!?」
財宝庫は王国の金銀財宝が眠る倉庫であり、その金銀財宝は隣国との取引に必要なものである。それが灰になったということは、隣国との取引が上手くいかず、関係性が悪化していく可能性がある。そうなれば、魔王軍との戦いも苦しいものとなり、国が蹂躙される可能性があるのだ。それに加え、王の服が燃やされるというギャグのような事態。
兵士や体調は顔を青ざめており、汗が滝のように流れている。今まで遭遇して来たどんな事態よりも酷く、解決策どころか何をすれば良いかすら思いつかなかった
「ど、どうしましょう隊長!」
「くっ……と、とりあえず……どうすれば良いんだ?」
「隊長ーーーーーー!?」
その日。城中が阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。国王は寝るときに着ていた寝間着であちこち走り回って恥をかき、クラスメイト達は突然弱くなった神器に意気消沈。部下たちは解決できない問題を解決しようと東奔西走。その異常は王都にまで広まり、市民の混乱を招き、王都に住む者たち全員にとって地獄のような1日となってしまった。