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GHOST HUNTER  作者: 火取閃光
第1章 造形士
8/9

1-8 霊窟・光明洞

 新しい学校へ転入して数日が経過した。初顔合わせ以降だが景政以外と交流を深めそれなりに仲良くなったつもりだ。


 また、割と物騒な事を呟いていた小春を除いてだがあの時教室で景政が言った狼怪異(オレ)に関する非難は今の所見られず俺と真は次の依頼までの間、真の実家で訓練に明け暮れていた。


「まこ、まこっ!」


「ん? ヒロ、どうしたの?」


「これ、見ててくれっ……! ふぅ……ハァーッ!」


 気持ちを落ち着かせながら頭でイメージした通りに血液(にくたい)を操作する。すると寛の口元がモゾモゾと動き始め人間で言う犬歯の部分から鋭く大きな牙が2本生えてきた。


「おぉ〜っ!! 牙が生えたっ……!」


「おうっ! それに……ハァーッ!」


 真琴の喜ぶ姿を見て安堵する。そして、変化させた牙を一度元へ戻し気合を込めて次の血液操作を行った。


「っ!? 今度は、牙の代わりに爪がっ……!!」


「おうよっ! ようやく、なのかな……? 血液(しんたい)操作で一部だけど変化させる事に成功したんだぜっ! 凄えだろっ!」


「うん! ヒロ、凄く嬉しそうだね。自分に攻撃手段が無い事、結構悩んでたもんね……」


「あぁ。癪だけどさ、景政(アイツ)が言っていた事って結構合っているからな……。景政が指摘したから本当はあんま認めたくねぇけど図星だったし……。


 俺はさ、今までの戦闘でずっと(おまえ)におんぶに抱っこ状態だったって自覚していた……。でも、これがあれば俺も戦える。憑纏とは違った形で(おまえ)と共闘が出来る。それが、嬉しくてつい、な……」


「ヒロ……! うん、ボクもヒロと一緒に戦えて嬉しいよ。これからも、頑張ろうね!」


「おうっ!」


 まだまだ人間が呼吸をする様に自然と自由自在に行える血液操作には程遠いクオリティだ。一々頭でイメージしてそれなりの時間を掛けて変化しても一部分に限る上に強度も心許ない。


 それでも、俺はこの成長を素直に実感する事が出来た。この血液操作のお陰で本当の意味で真と共に戦えるからだ。そして、反復訓練を終えた俺達はある場所まで移動を開始した。



 ーーー


 ーー


 ー



「此処が今日から使える"霊窟(れいくつ),,か……。怪異の気配がビンビンに感じるぜっ……!!」


「此処は遊専が所有・管理している大霊窟の1つ、光明洞(こうみょうどう)だよ。今日はこの霊窟のB1〜B2に出現する"鬼蛙(オニガエル),,の核導を5個納品する依頼を受けた。


 核導納品の依頼は五個だけどヒロの霊力向上や各自の戦力増強の為に限界まで探索するからそのつもりでね!」


「おう! 任せてくれ!!」


 霊窟とは霊的波動滞留洞窟の総称である。霊窟は一定以上の霊力を保有する存在が長期間その場に留まる事で空間が歪み怪異を発生させる異空間を生成させ固定化した場所の事である。


 霊窟は主に人が集まる有名な山や海の中、神社仏閣の地下や幽霊スポットにもなる廃村や廃校者と言った場所に多く存在している。


 一定以上の霊力がある怪異はその場で自身の力を誇示して他の怪異を従える為の異界化と言う能力を持っている。しかし、これはその怪異を倒す事で自然と消える為に霊窟とは少し違う分類となる。


 霊窟は主に人間へ比較的に友好で穏和な怪異と契約して作られている。彼等の目的は主に訪れる人間達から放たれる強い感情や祈りの様なエネルギーを吸収する事だ。


 本来なら人間や他の動物達を襲い食らう事で得られる魂のエネルギー。それは一定の想いが集まっている場所だと自然と零れ落ちる様に垂れ流れる。


 本能で襲う低級怪異とは違い霊窟に住まう穏和で理知的な怪異達は、人間で言う株式投資の様な方法でエネルギー回収をする為に人間へ協力的だと言われる。


 そして、俺達が居るこの光明洞は東京都にある長瀬浜克徳尊(ナガセヤマカツノリノミコト)と言う武神を祀っている長瀬浜神社の地下に存在する遥か昔からある大霊窟だ。


 武神を奉る長瀬浜神社では主に日本武術に関わる様々な人達か毎日参拝に来ている。学生や社会人は勿論、現役で活躍する選手や外国人観光客も多くいる。


 この神社では定期的に武術大会を含む武術体験コーナーを開いている為、割と道着を着ている人や竹刀や弓を持っている関係者も多い事もあり俺達の様な人種がいてもそれほど気にはならなかった。

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