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幼馴染は俺のことを好きなはずなのに絶対好きとは言ってくれない

作者: 冬月空

 俺には幼馴染がいる。

 名前は、峰坂凛みねざかりん


 容姿端麗、才色兼備、そんな言葉が似合う可憐な女の子だ。

 そしてそんな彼女は俺に恋をしている。



 ★ 幼稚園時代


 皆で砂場で巨大トンネルを作ろうぜってなっていた時代。

 彼女だけは運動場の隅で、健気にさく小さな花を見ていた。


「このお花、とても可哀そう……」

「なんで~?」

「だって、花壇にも咲いてないし、誰にも見向きもされないのよ」

「そうなんだーへー」


 凛は昔から大人びていた。

 父が大人気作家だったため、色々な表現に包まれて生活してきたのだろう。

 俺はと言うと、年相応といった感じだ。


 それがきっかけで、俺は凛と話し出した。



 ★ 小学生時代


 女子の間で少女漫画が大流行した。

 家には小説だらけだった凛にとっては、文字が少なく絵が多い漫画、しかも恋愛ものと言うのはとても新鮮味があったのだろう。


亜依斗あいと、なんでこの二人はキスしているの」

「うーん好きだからじゃね」


 小学校5年生。

 俺はこんなことしか言えなかった。


「じゃあ、私。亜依斗とする」

「は? するわけねえじゃんか、ばーか」


 赤面しまくった俺は、声をオドオドさせながら強がった。


「私とするの……いや?」

「い……いやじゃねえし?」


 嬉しいに決まっていた。

「よかった!」


 これが俺のファーストキス。


 ★ 中学1年生


 凛のロッカーにはラブレターなるものが大量発生するようになった。

 毎日雪崩のようにロッカーを開けると落ちてくる。


「毎日大変なことで、凛付き合わねえの」

「なに? 付き合ってほしいの?」

「ち、ちげえよ、ばーか。ただ、どうなのかなって気になっただけだよ」

「あ、っそ」


 コイツ、絶対俺の事好きだろってこの辺りから思ってきた。

 凛は相変わらず顔には出さない。


 ★ 中学2年生


 一大イベントである修学旅行を迎えた。

 場所は北海道だった。


 人生で初めてのスキーを行った。

 しかしここで事件は起きる。

 俺達2人は揃いも揃って遭難してしまった。

 そうなんかーと言った感じだ。


 救助がやってきたのは夜遅く。

 完全に日が沈んだ頃である。


 気温はマイナス10℃

 とてもじゃないが、平静を保っては居られなかった。

 救助が来るまでの間、俺達はお互いを温めあった。


 この日から、凛の俺を見る目が変わった気がする。

 吊り橋効果と言うやつだろうか。


 ★ 中学3年生


 いよいよ進路を決めなくてはならくなった。

 俺達は同じ高校に行くようにし、見事受験も合格。


「やったな! 俺達また高校でも一緒だぞ」

「そうね」

「うれしいか、そーかそーか」

「いや、言ってないんだけど……」

「あれ? すまん、心の声を聴いてしまった」


 なんか凛も嬉しそうなので何よりだ。

 多分凛は俺のことを好きである。


 ★ 高校1年生


 凛が華のJKになる。

 目新しい制服は、凛の可愛さを底上げしていた。

 そして、数か月がたった頃、凛の告白をされた回数が三桁を超えた。

 凛が俺の傍から離れて行くような気がしてきた。


 ★ 高校2年生


 人生2度目の修学旅行がやってきた。

 行先は沖縄だった。


 スケジュールは

 1日目 歴史を学ぶ

 2日目 泳ぐ

 3日目 海底観察

 こんな感じだった。


 行動するのは班ごとになっており、俺と凛はまたしても同じ班だった。

 そんな時凛が言った。

「これは……運命かしら」

 と。


 だから俺もいう。

「あーこれは運命だな」

 っと。


 二人して盛大に笑いあった。



 そして、3日目の夜。

 凛が俺のことを好きかもしれないという疑念が確信に変わった。


 ホテルのロビーを歩いているとき、凛とその友達の会話が聞こえてきた。

「凛ってすきな人いないの~」

「好きな人ねえ」

「あ、例えば亜依斗くんとか?」

「え、まあ、好きなほうかな」

「おぉ」


 俺はもう確信した。

 やっぱあいつは俺のことを好きだったんだと。


 翌日、少し俺は意識しだした。

 凛はそんな素振りを一切みせていなかったが。


 内心大好きだと思われてると思うと

 ニヤニヤがとまらない。


 ★ 高校三年生 現在。


 12月25日、クリスマス。

 俺は凛をデートに誘った。

 凛の真意を確固たるものにするために。


「ごめん、まった?」

「全然、今着たとこだから」


 そう言って、俺はさりげなく凛の手を握った。

 離そうとはしなかったため、いいよってことだろう。


 それから食事をとり、イルミネーションをみて、昔の思い出の「松ぼっくり公園」に向かった。

 凄く懐かしかった。


「何年ぶりかしらね」

 そういう彼女の顔は、銀色に輝く雪と相まって、とても可愛らしく見えた。

「ほんと、もう10年ぶりくらいになるのかな」

「懐かしいね」

「うん」


「ねえ、凛」


 高校三年生の12月25日現在。

 俺は思い過ごしをしてることを悟った。


「俺、凛が好き。俺と付き合ってください」


 凛は無言のまま首を縦にふり、俺の手を強く握ってくれた。

 どうやら、好きと言ってなかったのは俺もだったらしい。


 俺は、人生初めてのセカンドキスをした。

 雪のせいか、凛の唇はとても暖かく感じた。





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