第75話〜誕生会1〜
それではどうぞ!
「ただいま〜……って、あれ?寝てるのかな…」
帰ってきたはいいものの、いつもより家が暗い。それもそのはず、いつもなら明かりがついているのだが今日はついてない。
この時間に海莉が寝る事なんて無かったよな、珍しいなぁと思いながらリビングに向かう。…カーテンまで閉めてるのか?
「ただい…」
そこまで発言した時、急に明かりがついた。眩しっ!?
『優成くん(佐久間さん)誕生日おめでとう〜!』
………誕生日?誕生日ってなんだっけ?
……………………ああ!!そういや俺今日誕生日なのか。かんっぜんに忘れてた……
「ありがとう……」
ここでようやく海莉以外の人間がいることに気が付いた。
俺のマネージャーの佐藤さんに島海さん……あれ、綾香さんいつの間にそっちに移動したんだ!?
「成功ですね、海莉」
「だね!…やっぱり気付くの遅かったけど……」
「今まで誕生日らしいことをしてないのでしょう。仕方ないことです。」
「まさか本当に気付いていなかったとは…」
だって生まれてこの方、誕生日ってなんの意味もなかったんだもの。意識するだけ悲しくなる日だったもん。
「そういうわけで!今日はお祝いするために準備してたから!」
机の上を見ると豪華な食事の数々が……って、よくこんな作ったな…。
「ケーキはご飯食べてから!まずはご飯を食べましょう!」
そうしてみんなでご飯を食べる。話しながら食べ、盛り上がった辺りで食べ終わる。
ちなみに料理は全部美味しかった。味付けが絶妙だったし。あとバランスも考えられてた。量が多いのにしっかりバランスを考えるあたり凄いよな。
さ〜ケーキ入場〜!という声とともに運ばれてくるケーキ。
上にイチゴが乗った、美味しそうなホールケーキだ。チョコの板には俺の誕生日を祝うコメントが書いてある。…1番有名?王道?なやつだな。
「はい、じゃあロウソク消して!」
「ロウソクを?」
「うん。全部吹き消すんだよ!」
言われた通りにする。…何気にこれ初めてだな。吹き消す間、かの有名な誕生日の歌をみんなが歌い出したので歌い終わるまで待ってから消す。
「改めて…優成くん、誕生日おめでとう!」
『おめでとう!』
初めて自分を避けないでいてくれる人達。そんな人達から人生でほぼ初めて誕生日を祝われた。…俺は、
「……ありがとう、みんな」
俺は、泣かないように堪えながらそう返すので精一杯だった。
それではまた次のお話であいましょう〜!




