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第74話〜会社、約束〜

それではどうぞ!

「ご馳走様でした、綾香さん」


「満足してもらえたなら何より。ちょっとだけ寄りたい所があるのだけどいい?」


「ええ、もちろん。」


特に急いで帰る理由は無いわけだし。どこに行くのかは気になるけど聞かないことにした。つけば分かることだからね。


「……何?ここ」


「会社です。」


見ればわかるでしょう?と行ってくる綾香さんに対して

わかるけど…!見ればわかるけどなんで会社に…!?と疑問をもつ俺。


「少し用事がありまして…すぐに終わります。案内させますので部屋で少しくつろいでいてください。」


その言葉で、本当は忙しいのに俺のために時間を使ってくれていたんだと理解する。……これは本当に感謝しなきゃ行けないな。


横に人がいるから(それも一定信用出来る人だと分かってる人)取り乱さずに済んだかもしれないし。


1人ならもう少しダメージを受けてるかもしれないし、説得で逃げ場を無くされ引き受け人をさせられたかもしれないし。


そうなれば地獄の再来だからな。…地獄で済めばいいが。


さておき、退屈でしょうから、とこの会社のことに関する資料とかが運び込まれていたのでそれを読む。別に読まなくてもいいのだろうがせっかく用意してくれたわけだし。


そうして資料を読んだり、読み終わったらスマホで時間をつぶしたりしていると綾香さんがやってきた。


「おまたせしました。すみません。」


「全然大丈夫ですよ。」


そう言ってくれると嬉しいわ、と俺の対面の席に座る。


「お疲れ様です、ほんとに」


「ありがとう。私じゃなくてもいい案件でも呼ばれるのよね……」


それだけ綾香さんの能力が高いということだろう。…人を従える側なのかもしれない。というかそうなのだろう。


「資料、読んでくれたのですね」


「用意してくれていた訳ですし、気になってましたから。ここがどういうものなのか。」


だいたい分かった。至って普通の…いや、自社のプレゼンはそこら辺の会社よりはるかに上手かったけど、怪しい感じもない会社だ。


特に気になったのは……


「Vや普通の動画投稿者用の事務所を設立しバックアップ体制を取る…かな?」


「まあ……Vですから気にはなりますよね。」


「移籍してくれてもいいのよ?」


流石にそれはちょっとな……今の事務所が嫌になったら考えるかな。にしても、なぜ事務所を設立するんだろう。


「これからもっと動画投稿の市場は拡大していくのです。有名な方に会社の商品を紹介してもらえれば利益になるし。早めに動けば動くだけ得なのです。」


「なるほど…勉強になります。」


「早すぎると駄目だからそれだけ気を付けなきゃ行けないけどね?」


難しい世界だ…。俺には無理だろう、才能もそれを補える知識も無い。


「そうでも無いのでは?知識はつければいいし。やってみる?会社運営。」


「いやいやいや、そんなゲームする?みたいな軽いノリでやれませんよ……」


あら残念、という綾香さんに対し冗談8割本気2割だなと分析する。…訂正、3割はあるかもしれない。


「…もう少ししたら確認の書類を持ってくるので、それが終われば帰るとしましょう。送っていきます」


「ありがとうございます。…すみません、忙しいのに。」


「こっちはなんとでもなるけど、優成くんの方はそういうわけじゃないし。今度何かデートでもしてくれればそれでいいのよ」


「うえっ!?」


「冗談よ、冗談」


からかわないでください…!と抗議する俺の頭のすみには、そのうちこれ実現しそうだなとどこか予感していた部分もあった。

あと少しでブクマ2000!よろしくお願いします!


それではまた次のお話であいましょう〜

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