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第336話〜控え室〜

それではどうぞ

「お疲れ様ですウルフさん、こちらです。」


「お疲れ様です。」


企画日当日。俺はリハーサルが無いためみんなに比べて遅れてスタジオ入りする。

みんなは……多分リハーサル中だろう。


「控え室はこちらです。」


佐藤さんに控え室に案内してもらう。おー凄い、テレビとかでよく見る控え室だ。

なんか芸能人になった気分だな、これだけ見ると。


写真取っとこうかな……ちゃんと控え室の名前「独野ウルフ様」ってなってるのも感動だ。


「時間が来るまでゆっくりして頂いて。あ、これ一応台本です」


「あ、台本あるんだ。良かった」


一応ってなんだ?と思ったけど台本があるに越したことはないので受け取っておく。


「じゃあごゆっくり。」


「はーい。ありがとうございます」


……さて、時間まではゆっくりしてていいと言われたが台本にはしっかり目を通しておかなければな。


そう思い台本を開いてみる…………が、うっすいなこの台本。

企画の名前らしいものが書いてあるのが表紙だろう。


それをめくったら1ページ目に何やら流れらしきものがチョロっと書いてある。……だけだ。

1ページで終わる台本って何よ……期待した俺が馬鹿だった。


まあいいけど……ガッツリ書いてあるよりもやることがシンプルでわかりやすい分楽だけど。詰め込めって言われるよりね。


「何するかな…」


時間までまだ30分以上はある。どうして時間を潰すかな。

SNSでみんなと会話しておくか?でもなぁ…


いかん、無駄に緊張してきた。考えてみればこういう形式の企画は初めてなんだよな。

あーーー緊張する。何が起こるかわからないって所まで含めて緊張する。


とりあえず…トイレとか先に済ませておいたほうがいいよね。

お腹は空いてないからお菓子類に手は出さなくても良さそう。…てか、これ多くね?良くもまぁこれだけのお菓子を用意したな。


ご自由にどうぞって書かれてるから食べていいんだろうな、これ。終わったら食べるか…


「お?」


そろそろ始まるからなのか向こうではテスト放送してるようだ。…見ない方が良さそうだから見ないけど。楽しそうにしてるんだろうなぁ


SNSで反応を見てみると今回の企画がトレンドに入ってた。

みんな楽しみにしてくれてるようで。


早い人はもう待機してくれてるようだ。流石。



そうしてSNSを見ながら時間を潰していたらいつの間にかテスト配信は終了していた。どうやらなんの問題も無く終わったらしい。


時間も5分前だ。……という事は、そろそろか?


ドアがノックされたのでどうぞと声をかけると、佐藤さんがやってきた。

やはりか。


「ウルフさん、そろそろ本番です」


「了解です」


一応台本をもってLIVE部屋に向かう。…まぁ必要ないが、一応ね?一応。


「緊張してます?」


「さすがに少しは」


「多分開始5分で緊張は解けますよ。…後はいつも通りにやってればOKです」


いつも通りか……企画だからって無理に気負う必要は無いってことかな。

そう言って貰えるとちょっと気は楽になるね。


まぁ元より知ってる人達に進行は任せて流れに身を任せるしかないんだけど。


「ここです。」


「おーここ…あれ、みんなは?」


「最初は1人です」


ああなるほどね。この方に登場して頂きましょう!みたいな流れがあるんだね。

設定は…大丈夫そう。ヘッドフォン付けて…よし。


「準備出来ました」


「バッチリですね。飲み物ここに置いておくので」


無くなったら教えてください、と言って佐藤さんが出ていった。そこそこの長時間だから飲み物あるのはたすかるね。


さて……じゃあ始めるか。楽しい楽しい企画を!

それではまた次のお話で会いましょ〜

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