第324話〜企画段階〜
それではどうぞ
(はてさてどうしようか……)
記念放送におすすめ、と書かれた企画書のようなものを眺めつつ頭を悩ませる。
気合い入れて企画を考えてくれるのはいいんだけどね、マネージャーさん。
凸待ちのことしか書いてないのはどうかと思いますよ、ほんと。
そもそもコラボなんてあんまりしてないんだから来てくれる人が限りなく少ない。
凸待ち企画として成立させれるほどの人脈が無いのに何故押すかね。
かと言ってリスナーと話すのもな…話せなかったリスナーさんも絶対に出てくるから良くないと思うんだよな。
かと言ってVCのアドレス乗せといて「誰か来てください!」ってやって何人来るのか。
結局いつもの人達しか来ませんでした!は企画として成り立ってないからな。
いっその事凸待ちしたいから誰か来て!って呟いてみるか?
反応次第でやるかやらないか決める…ってのはありだよなぁ。
そうしてみるか。初めて!って人でも話してみると意外と面白いかもしれないし…案外話したいって思ってる人がいるかもしれない。
色んな人と話してくれ!って言うのがマネージャーの想いだろうし…
呟くだけ呟いてみよう。ダメならダメで他の事を考えよう。
100万記念雑談放送……記念にしては普通すぎるか。
「ちょっといい?」
うむむ……と頭を悩ませていると、遠慮がちに海莉がドアをノックして声をかけてくる。
一旦これを考えるのは中断してた女?海莉の方に向かう。
「どうかした?」
ドアを開けて話しかける。…何か用だろうか?
「んと…ね。やってみたいことがあって」
「やってみたいこと?」
なんだろう?俺も関係のある事かな?
「関係あるって言うか、一応許可を取っておこうと言うか…」
そんなに言い難いような事なのだろうか?なんか身構えてしまうな……
「えとね、実写配信がやってみたくて。料理とか」
「いいんじゃないの?」
そんなことか。別にいいんじゃないか?ダメとは言わないぞ?
もちろん、安全面とかに十分配慮して絶対に身バレが起こらないようにするって前提はあるけど。
「作った料理とか食べて欲しいし、身バレは起こらないようにするからちょっと出て欲しくて」
「良いよ。海莉のご飯美味しいし。」
「や、やった!」
前からやりたそうだったし、そもそもうちのキッチンは配信することも考えて作ってある…みたいな話を海莉がしてた記憶がある。
なるべく反射しないような物を使って、身バレが無いように徹底すればいいし。
海莉もその辺はわかってるだろうからな。もしバレたら……まその時は対策を考えよう。
「ありがとっ」
海莉が愛おしくなったので撫でる。…今日は積極的に甘えてくれるな〜可愛い。
「……それ、企画書?」
「一応はね。何も決まってないけど」
そもそも人集まるか疑問だし、と言うとやってみるだけやって見たら?と海莉が言う。
そうだよな〜。やる前から無理って決めてちゃダメだよな。
「そうそう。意外と来るもんだよ?」
「…そうだな。進めてみよう、この企画」
そうなると来てくれそうな人を集めなきゃ行けないな。
…先に日程やら時間やらを詰めていく方がいいか?
「私最後にするから、それだけよろしく」
「ん、わかった」
当然のように参加してくれる海莉を抱き締めて…離したくはないが離す。
やると決めたなら即行動だ。
「…えっと、海莉?」
「良いでしょ?これぐらいは」
パソコンに座り纏めるべく文字を入力しようと思ったのだが、海莉が後ろから俺の頭に自分の頭を乗せる形で密着してきた。
…ま、いいんだけどな。重くないしそんなに重要なことでもないから見られてもいいし。
むしろ海莉から助言してもらえる分得してるかな。
さてさて、色んな人に声かけるぞー!
それではまた次のお話で会いましょー




