第31話〜体調不良〜
看病ですよ。
それではどうぞ!
「おいおいどうした?はやく来いよ…ったく、ノロマだなお前は」
「君がいると迷惑だ。消えてくれ」
なんで…なんで俺だけが……
「この人がやったんです!」
「何故こんなことをした?…言え!」
違う、違う!俺は…俺は何も…
「お前を助けてくれる人はどこにもいない。」
「ごめんね、でも君を生贄にすると私は助かるから」
そうだ。…誰も、俺を助けない。助けようとした人さえ見捨てていく。
誰も信用出来ない。誰も、認めてはくれない。
…そんなことないよ!私は、私は………
「あ、起きた?」
「ん…?海莉…?」
「大丈夫?随分うなされてたけど…」
「大丈夫大丈夫、何も無いよ。」
何も無いことは無い。ここ数日は見なくてすんでたのだが……久しぶりに見るとやはりきつい。
「…………………」
「え、なにそんな怖い顔して。…どうしたの?」
「……………………」
無言。無言で、ただひたすら怖い。圧を感じる。
「えっと、海莉…?」
「……………………………」
「ごめん、悪かった。あった、あったからそんな…怖い顔しないで…」
「ご、ごめんね。ちょっと意地悪しすぎたね。ごめん。」
笑顔になり全力で頭を撫で回す海莉を見ながらほっとする。
「…それで、何があったの?」
「大したことじゃ、無いんだけど…」
そう言って、俺は今朝見た夢を説明した。
「前まではよく見てた夢だからね、別に特段気にする事も…うわっ」
海莉が俺に抱きついてきた。…押し倒されたと認識した瞬間、顔に熱を帯びていくのがわかった。
「ちょ、ちょっと海莉??」
「大丈夫、大丈夫だから…。」
「なんで海莉が泣きそうになってるんだ…。大丈夫だよ、今はちゃんとわかってるから」
「うん。…それはそれとして、優成くん顔色悪いよ?」
熱測ろっかと体温計を渡されたので素直に従う。その間も海莉にずっと撫でられ続けたり、励まされたりしているんだけど…
これで熱上がったら海莉のせいだからな、と思いつつ確認してみる。
「うへ…」
「38.4……ガッツリ熱だね。今日の学校はキャンセル、休むこと。いい?」
「でも……」
「なにかな?賢い優成くんなら、休んでくれるよね?」
こ、こわい。笑顔が果てしなく怖い。もしここで行くなんて言った日には何が起こるかわからない。
「だいたい、私怒ってるんだよ?心配して聞いたのに素直に教えてくれないし…」
毎回そう。隠せてると思ってるのかな、顔みたらすぐ分かるのに…と続く海莉の声を遮って、休む!休みます!めっちゃ休みたい気分です!と言う。
「ん、いい子だね。よしよし。」
「いい子っていうか、いい子にさせられるっていうか…」
なにか?という問に何もありません!と即答する。逆らえない。
最も、俺のためを思ってくれてるのは分かるので嫌な気は一切ない。
「汗かいてるだろうし、着替えといて。飲み物持ってくるから。」
海莉が部屋から出たのを確認して着替えを始める。…いつもならスムーズにできるのに、体がだるくて時間がかかってしまった。
ここでようやく、体が不調を訴えている事に気が付いた。とにかくだるいししんどい。こんな中行こうとしてるんだから、そりゃ海莉も怒る。
何とか着替えてベッドに戻る。横になると少しは楽になったが、今度は眠気が襲ってきた。恐らく、お前もうちょっと寝てろという体の訴えだろう。
少し寂しい気持ちもあり海莉が戻るまでは…と我慢しようとしたが、もうだめだ。
眠気が……………かい…り……
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それではまた、次のお話であいましょう




