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第269話〜何故か慰められた〜

それではどうぞ

「いい匂い〜!」


「まだ焼けてないから食べたらダメだよ」


「野菜なら食べれるよ?…火通ってないけど」


「バーベキューで生野菜はちょっと…」


はいはい、もうそろそろ焼けるからちょっと待ってね〜。

…っと、お?焼きそばもいい感じになってきたな。


「まさか本当に料理できるとは…」


「手際いいし大也とは大違いだね」


「わざわざ言わんでも…」


俺も料理勉強しようかな、と落ち込みながら言う大也くん。

簡単なものならすぐに覚えられるしやってみるといいんじゃないかな?……六花さんが許してくれるなら。


「そうそう。私が居るんだから作れなくてもいいでしょ」


「いいですね、皆さん恋人がいて」


「あら、かりんちゃん居そうだけど?」


まぁたしかに見た目は悪く無いだろうし居そうなもんだけどね。


「特にそんなものに恵まれずにここまで来ましたし。寄ってくるのは…まぁ、その」


「あー……うん、その気持ちはわかるんだよ」


「………よくわかります。ほんとに」


女性陣で通じ合ってるなぁ。…まぁ全員確かに容姿に優れてるから男がよってくるのは仕方ないのかもしれない。


「大也もそこそこモテたから気持ちわかるんじゃない?」


「いやぁ…そうでも無いよ?」


大也くんも確かにモテそうだ。見た目いいし性格いいし、結構な優良物件だもんな。

何せ見た目が良くないとそもそも気にして貰えないわけだから見た目がいいのは羨ましいことですね。


「…自覚がないってほんと」


「ちゃんとしたらかっこいいのにちゃんとしようとしないんだよね。…最近はオシャレに興味を持ってくれるようになったけど」


自覚無いですよ。…俺の見た目がもう少し良ければ……いや、やめておこう。

これは何度考えても意味の無い事だから。


と、そんなことを思っているとお肉がいい感じに焼けてきた。

これならもう食べれるだろう。


「それよりほら、そろそろお肉も焼けたぞ。」


「実はお腹すいてたんだよね私!」


「控えめにしてたもんな、食べる量」


あら、わざわざお腹空かしてくれてたのか。…沢山おたべ?食材はいっぱいあるから。


「優成くん食べないの?」


「食べますとも。焼きながら食べるから大丈夫」


「器用だな」


そんなに難しくないぞ?…ただ隙を見て食べれそうな時に食べるだけだから。

肉を焼いてる待ち時間に既に焼かれてるやつを食えばいいしな。


「あら、美味しい…」


「良かった、じゃんじゃん食べて」


用意したお肉がお気に召したようで何より。そこそこに奮発していいお肉も買ってるんだよね今回。


「お米も結構炊いたからおかわりしたかったら言ってくれ」


やったー!とテンション高めなみんな。うんうん、頑張って準備した甲斐があったね。


お肉も途切れないようにいっぱい焼いていく。…やはりこの肉が焼ける音、いいよな。実に食欲をそそられる。


なるほど、バーベキューとはこんなにも楽しいことなのか。

1人でやると確かに虚無だが、みんなでわいわいやるには最高だな。


みんなもテンション高めに食べながら話しているし楽しんでくれてるようだ。

…とはいえ、話してるのは主に配信のことだから普段と変わらないような気もするけどな。


それとも配信者だからどうしても配信の話題になるのは仕方ないのだろうか?


「普段から配信の話ができる人が周りにいないのもありますね。どうしてもこういう話になるというか」


「確かに、友達にVTuberなんだっ!って言え無いしね。言ったとしても配信者目線の話は出来ないよね〜」


「それは確かに……」


うんうん、と頷いてる俺以外の全員。…俺はって?

そりゃあ…俺には仲のいい友達、この場にいる人達しか居ませんし。到底理解のできない話だったわ。


「…元気だして」


「ありがとう、でも俺は元気だよ」


「元気そうには見えないのですけど……お気を確かに」


「ありがとう、元気だよ」


「同じことしか言わなくなったんだけど壊れた?」


その後しばらくの間総出で慰められるという自体が発生したようで、正気を取り戻し話を聞いた後物凄く申し訳ない気持ちになった。


ただ慰められてる間の記憶が定かじゃないんだけど……何があったんだろうか?


「知らなくてもいいんだよ。」


……そう言われると気になる。一体何があったんだ?

それではまた次のお話で会いましょう〜

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