第268話〜謝罪、そして説教〜
昨日は前触れなくお休みしてしまい申し訳ありませんでした
それではどうぞ!
「……と言うわけなのです。」
…聞いただけで気分が悪くなってくる話がひとまず終わり、静寂に包まれる。
流石の大也くんや六花さんでも言葉が出ないようで驚いた顔をしたまま固まっている。
海莉はと言うと……無言でかりんさんを見つめ続けてる。怒ったり笑顔じゃない分ちょっと怖いよね。
少しして、かりんさんがこちらに向き直り話し出す。
「…ずっと会いたかったのです。ずっと、会って謝りたかった。私のしたことが謝って許されるとは思いませんが、それでも……直接謝罪をしたかったのです。」
申し訳ありませんでした、と頭を下げるかりんさん。
そしてみんなの注目が俺に移る。
「…優成くん、自分が許してもいいって思ったらでいいんだよ。」
私達のことまで考えなくていい、と言ってくれた海莉。俺が何を考えてるのか、海莉にはお見通しらしい。
正直な話だが生徒会長として見るのなら許す気はない。無いのだが……
俺はこの人が悪い人じゃない事を既に知ってしまっている。
VTuberとして関わって、かりんさんが良い人なのを知っている。
それが演技と言われればそれまでなのだろうが、流石にそこまで疑いたくはない。
悪い所もいい所もあるのが人間だってのは海莉と出会ってからよく分かってるんだけど…
わかってはいるんだけどな。
かりんさんとしてみるならまだ許せるが……生徒会長として見るなら余裕で無理だ。
戯言言う前に帰れって言いたいぐらい無理だが、それでもな。
だいたい考えが固まったがまだ少し不安なので、少しだけ勇気をもらおうと海莉の方を見る。
すると心配そうな顔で俺を見ている海莉だったが、俺が見ているのに気が付くと微笑んでくれた。ほんと、海莉には感謝だな。
「……分かりました、受け入れましょう。二度と同じことの無いようにね」
色々考えたし思うことはあるけど、ここで許さないという選択肢を取るのは結局俺には無理だった。
流石にあの親ほど行くと許す気は無くなるのだが別にそういうわけでも無いしな。
色々考えて別に許せない程じゃないよねと思ったのなら許す事にしたのだ。
……一切許せないような心の狭い人間にはなりたくないし、このままずっとかりんさんと微妙な関係になるより受け入れた方がいいと思ったからなんだけどな。
まさか受け入れて貰えるとは思わなかったのかかりんさん本人はかなり驚いた顔をしている。
…訂正、海莉以外驚いてる。そんなに俺が許すとは思ってなかったのか?
逆に海莉は笑顔で、頑張ったね!って感じだ。何もかも見抜かれてるのがちょっと悔しいけど。
「いや…あまりにあっさりというかなんというか…」
「もうちょっと色々あるかなって思ったらすんなりいったというか」
それで言うと色々はあったんだけどな。ただ表に出してないだけで。
「私は優成くんなら許しそうだなって思ったし……優成くんが良いなら私も何も言わないかな。ただ…」
「次優成くんに何かしたら、私が許さないから」
前置きしてそう言い放った海莉の迫力たるや凄まじく、俺ですらちょっと怖いと思ってしまう程だった。
いやまぁ、俺の為にここまで言ってくれるのは嬉しいけどな。海莉はいつでも俺の味方をしてくれるんだなって。
「…肝に銘じます。」
「ん、なら私から言うことは無し。…優成くんは別だけど」
「へっ?」
「へっ、じゃないです。君は後でお説教」
あっ、えっと……何とかなりませんかね、これ?ならない?あそう…
お説教に関しては分かってたことなので受け入れるけど、多分今回のは長いぞ…
「まあ、私たちは元々何も無いし解決したらそれで良しかな」
「だね。わざわざ何か言うほどでも無いし。……我慢しすぎかなとは思ったけど」
「あ、それはちょっと思った。お互いのためにならないんだから感情出しちゃえばいいのにって…最初は感情隠してたのも分からなかったけど」
もっと色々言われたりなにか反応があるかと思ったらなかったから余計罪悪感が……と言うかりんさん。
うーん、そう言われてもなぁ……というかみんなにバレてたのね。
「一見なんとも無いけどよく見ると堪えてるんだよね優成くんって。…まあそれは後で私がお説教するからいいとして」
「良くはないんだけど」
「ご愁傷さまです」
合掌すな。死にはしないよ、死ぬほど怒られるけど……
「ほら、せっかく仲直りなんだから楽しくいこうよ。みんなで食べよ食べよっ」
「…ほんとにいいのでしょうか」
「いいも悪いも居なきゃ困るよ。ね、優成くん?」
「そうだな。いてくれなきゃちょっと困る。」
みんなで楽しく、のみんなにはかりんさんも含まれてるんだからな。
せっかく悪い話が終わったんだからこっからは楽しく行こう。
「じゃあ準備する。」
「私も手伝う〜」
さ、暗い話はここまで!……こっからは全部忘れて楽しもう!勿体ないしね!
体調不良などは無いのでご安心を。
それではまた次のお話で会いましょう〜




