第240話〜収録日〜
それではどうぞ
「お待ちしておりました」
「お久しぶりです佐藤さん」
本日はホワイトデーボイスの収録日だ。なので今日はスタジオの方にやってきた。
朝ごはんを食べて海莉をしっかり堪能してきたので元気はある。どこまで持つかはわからんが。
にしてもまさか今日だとは…予定を聞いてびっくりした、普通もっと収録早くね?って思ってたからな。
だって録音して、編集していい感じのにしないといけないんでしょ?
…絶対時間足りないだろ。何故もっと早くやらなかったんだ??
色々と甘くないかと俺は言いたい。まぁ最悪間に合わなかったら事務所が悪いってことにすればいいか。
「早速録音の方に移りましょう。あちらです」
でも流石はうちの事務所だな、録音設備は本格的なものだ。
…っと、いつまでもこんなとこで時間を使うわけにも行かないな。
さっさと録音してしまおう、俺は早く帰りたいのだ。
「では最初から〜の部分までお願いします。」
「はーい、いきまーす。」
全部一気に録音しないのがめんどくさいよな…ま仕方ないか。
さっさと終わらせよう、そして今後こう言うのはやらないようにしよう。
そう決意しつつ、口を開く。とりあえずこれは真剣にやるとしよう。
「つかれだあ〜」
「お疲れ様です。1度休憩にしましょう」
無論、ちょっとやそっとで終わるわけもなく。3時間程した後に1度休憩をとることになった。
このペースだとあと3時間はかかるんだよなぁ……ボイスが長すぎるから仕方が無いのかもしれないが。
あとちょっと恥ずかしいせいでメンタルも少しづつやられていく。
出ていく前に海莉から頑張ってと言われてなければ危なかったな…
それから、リテイクが多い。…これに関しては自分でも気に食わないと思ったものが多くてやり直してるケースの方が多いけど。
ともあれ少し喉を休めよう。喉にいいらしいホットココアもあるし。
…ホットココアってほんとに喉にいいんかね?カラオケ行った〜って呟いた時ホットココア飲むといいよ〜みたいなリプあったんだよね。
鵜呑みにして今回試してみてるんだが…まぁたしかに喉にいいような感じはする、かな?
気のせいでは無いことを祈ろう。これ終わったあと喉枯れたらどうしようかな。しばらく配信おやすみするしかないんだけど。
本当に配信者にとって喉は命……仕事で大事な部分だもんな声って。
それはともかく、お腹も空いてきたしさっさと終わらせなきゃ。今ちょうどお昼時だし食べちゃダメ?
……だめ?そっか。なら仕方ないね。
「そろそろ…」
「やりますか。」
休憩は終わりにして再開しよう。
ラストスパート…というにはまだ残ってるが、ラストスパート頑張るとしよう。
終わらせてご飯食べて帰る!…時間はないから、帰ってご飯を食べるんだ!
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした……つかれたー」
結果あの後5時間追加でかかるって言うね……合計で8時間だよ8時間。
ただせっかくやるからにはこだわりたい、ってことでリトライして頑張ったんだけどその価値はあったかなと思う。
「かなりの回数やり直ししてましたから時間かかって当然ですよ」
「どうせやるならいい物を届けた方が…ね」
「それはそうですが…まぁ、それだけの出来なのでこちらとしては有難いですけど」
何せずっと1人で「今のは違う……もっと親しげに」とか「もっと距離感近い感じで…」とかずっと試行錯誤してたもん。
付き合ってくれたスタッフさんに感謝。そして適宜アドバイスくれたスタッフさんに感謝。
「ん、お腹が……」
終わったと思うと緊張が緩んでお腹が鳴ってしまった。
早急にご飯を食べたいが今食べると帰って食べれなくなる。
海莉には我慢できなかったら先に食べててと言ってあるので別に今食べてもいいんだけど……待っててくれた場合申し訳ないからな。
よく考えてみれば、朝は食べたが昼は何も食べてないおかげで俺のお腹は減りまくってる。
そりゃ鳴るのは普通…ってかよく持ったなって感じで。
「今度からせめてお昼ご飯ぐらいの時間はあった方がいいと思いますよ、これ」
「……申し訳ないです」
いや責めてるわけではない…ある意味責めてるんだけど。
普通その休憩ぐらい必要でしょうよ……
「…優成さんが無理しすぎたのでは?」
「確かにそれもある」
それを言われるとどうしようもない。…さて、じゃあそろそろ帰ろうかな。
「じゃあこの辺で」
「お気を付けて」
そう言って佐藤さんと別れる。海莉に、今から帰るよと送っておく。
「お疲れ様!思ったより時間かかったね?気を付けてね!」
リトライが多くて思ったよりかかったこともちゃんと説明しておく。
不安にさせる…ことは無いと思うが、一応な。
駅前に移動し、少しだけお土産を買ってから帰る。
この後思ったより疲れてて、人生初の寝過ごしをやらかすことになるのだが……
それはまた別のお話で。
それではまた次のお話で会いましょう〜




