第21話〜尋問会?〜
不動くんには痛い思いをしてもらわないと行けませんねぇ…
それではどうぞ!
何を企んでいたのですか?と言われた瞬間、俺は理解した。結局こいつらもあいつらと何一つ変わらないのだと。
「私がいる限り、好き勝手はさせません。さあ、何をしようとしているのか教え…」
「いや、何を企むも何も俺は何もしていないが…」
いきなり何言ってんだこいつ?と言う目線を向ける。
「あの生徒から聞きました。あなたは昔とても酷いことをして、今尚反省していないと。同じことを繰り返すどころか、もっと酷いことを計画していると。それを知ったから説教してやろうと思ったと言っていましたが?」
少し、いやめちゃくちゃ厳しい目線を投げかけられる。馬鹿なのかこの会長は。そんなあほみたいな理論をなぜ信じる?
「なるほど。で?他には何か聞いたのか?」
「え?ええ。毎日毎日学校に来ては生徒をいじめたりしているとか。」
毎日学校に来ては…ね。残念ながら俺は毎日学校に来ていない。何せ出席日数ギリギリになるほどサボっているのだ。
「さあ、これだけ証拠があるのです。大人しく吐きなさい。」
…はあ。
「くだらない。生徒会と言うから少しぐらいは公平に見てくれるかと期待してたんだが…ま、おまえらには無理か。」
そろそろ言われっぱなしはうんざりしてきたからな。まともに話すつもりはもう俺の中で残ってないが、とっとと帰るためにお話してやろうではないか。
「何を…?」
「俺は残念ながら毎日学校に登校していない。教師にでも確認してみろよ。恥ずかしながら出席日数ギリギリなんでな、全教師が把握してるだろうよ。」
「な、う、うそ…」
「嘘だと思うなら教師にでも聞けばどうだ?さて、毎日登校していないのにどうやって毎日毎日学校に来て他の生徒をいじめられるんだ?不思議だなぁ?」
「…っ」
自分が間違っていることにようやく気が付いたのだろう。まあ、聞けば分かるような嘘をつく意味はないからな。
「さて、そんな嘘をついてその場を逃れたやつの言葉をあろうことか全面的に信じて俺を犯人扱いしてくれた人達とこれ以上話すことは何も無いので。」
失礼させてもらいますよ、と席を立つ。
「わ、私が…間違えた?私が…間違いだった?」
自分の過ちを素直に認めれないやつにこれから先真っ当に生きていくことは出来ないだろう。ま、言わないがな。
外に出る直前、ちらっと後ろを見ると会長やらそのお付きの人たちが項垂れていた。…ま、いいか。ほっておこう。
さて、時間は……って、やばい。急いで帰らないと海莉に何かあったのかって疑われ…ああ、言ってる側から電話来た!
「もしもし?どうした?」
「どうした、じゃないよ!大丈夫!?学校終わったって連絡ないし…」
「ああ、ごめんごめん。ちょっと先生に呼び止められてて。特に何かあったわけじゃないから、大丈夫。今から帰るから」
「わかった。気を付けてね?」
大丈夫だよと声をかけて通話をきる。…なるべく明るい声を出したのでバレてないだろ。よし、帰ろう。
「…副会長。職員室に行って、彼の担任から彼の出席日数を聞いてきてください。」
「わかりました。」
…自分が間違っていたかもしれない。もしそうだとすると取り返しがつかないほど彼を追い詰めてしまったことになる。
思えば、彼の目はここに来た頃には全てを諦めていた。私はそれを観念したのだと思っていたが、違う。あれはそんな優しいものじゃない。……全ての人から拒絶されてきたが故の、全てを諦めた目なのだ。私はその目を、知っていたはずなのに。
「…会長、確認が取れました。彼、本当に出席日数が限界ギリギリだそうです。少なくとも毎日来ているなんてことは絶対有り得ないそうです。」
「ご苦労様です。……そうなると、嘘をついたあの生徒は…」
「会長、それに関して気になったので調べてみたのですが…どうやらこの生徒、最近少し生徒会で話題になったいじめの主犯格だと疑われているようです。」
なるべく証拠を残さないようにしているから詳しくは捕まえられないいじめ事件が複数発生しているのだが、それら全てに関わっている可能性があると。…これは、あの生徒が正しかったのかもしれない。
「私は…なんてことを。…明日、もう一度この生徒…ええと、不動さんの話を聞くことにします。私たちはとんでもない間違いをしたかもしれません、佐久間さんに謝らないと…」
「ただいま〜」
「おかえ…」
何故か挨拶の途中でそう言って固まった海莉。そして次の瞬間
「うおっ。あ、危ないぞ海莉」
急に抱きついてきた。何故かもう二度と離しませんという意思が感じられる。
「何があったの?」
「え?特に何も…」
「目があの時と同じだもん。…あの時よりは、まだマシだけど…それでも、あの時と同じような目をしてる。ほら、何があったのか話して?」
それではまた次のお話であいましょ〜!




