第202話〜人生初の告白〜
それではどうぞ
「え……と」
ど、どうしよう。…どうすればいいんだ??流石にこんな展開は予想外なんだけど…
「嬉しい…!嬉しい!嬉しい!」
「ちょ、海莉…分かったから少し離れ…」
そう言って抱きついてきた海莉を引き剥がす。…一旦落ち着こう?
「ねぇ、最後まで言って?」
離れてから、海莉がそう言った。ちゃんと口にして欲しいということだろう。
…そう言われて、嫌だと言う訳にも行かない。覚悟を決めよう。
「…わかった。」
1度深呼吸をして、落ち着いてから話し始める。
「最初は…よく分からなかったんだよ。好きとかそういう感情はさ。まだ上手く人を信じることも出来なかったし、人生も諦めてたしさ」
信じたい気持ちもあり、信じてる気持ちもあり、疑ってる気持ちもあり。完全に信じれていたかと言われればそうじゃなかったなと思う。
「でも…海莉と過ごしていくうちに、毎日が楽しくなってさ。こんなに楽しい…笑顔になれることがあるんだって初めて知った。」
海莉と出会わなきゃ、VTuberなんて自分でやろうとも思わなかっただろう。明日どうしようなんて、考えようともしなかっただろう。
「ほんと、それだけだったんだよ。最初は。でも…海莉の魅力に触れていくうちにどんどん海莉に惹かれていったんだ。」
「優成くん…」
「初めてだったんだよ、俺に…こうやって笑いかけてくれたり、優しくしてくれたり…怒ってくれる人は。」
理不尽に怒りをぶつけてくる人は沢山いた。けど、俺の事を考えて怒ってくれる人はいなかった。俺の事を…真剣に案じてくれる人さえ、いなかった。親ですら道具としか思っていなかったんだから。
そして好きになった。気持ちを認めるまでは時間がかかったけど……それでも。この気持ち偽りじゃない。
「俺は海莉が好きだ。誰にも渡したくないし、幸せにしたいと思ってる。だから…」
「だから?」
優しく、次の言葉を待つ海莉。ゆっくりでいいからちゃんと聞かせて欲しいとその目が語っている。
「…俺と、付き合ってくれ。」
言った。ついに、言った。…やばいな、返答を待ってるこの時間凄い緊張する。間違いなく人生で1番緊張してる自信がある。
返答までの間は、時間にして20秒も無かっただろう。それでも俺には…5分、あるいは10分。それぐらいの時間が経過してるんじゃないかって思えてくる時間が過ぎてついに答えが返ってくる。
「…はい。私で良ければ」
「っ、ほんと?」
え、ほんとに??え…いいの?
「うん。真剣に言ってくれてるのがよく分かったし、幸せにしてくれるんでしょ?」
「うん。もちろん」
だったら良し、と笑いながら抱きついてくる。そして耳元で囁いてくる。
「それに…私はずっと、優成君のこと大好きだったんだよ?」
う、と…そ、そうなの?そうであって欲しいとは思ってたけどさ…
「女の子は…少なくとも私は、好きでもない人と一緒に寝たりしません!」
…確かによく考えると普通はそうなんだけどな?そこで気付けよって話なんだろうけどね?
「鈍感だもんね、仕方ないよ。鈍感」
「う…ごめんなさい」
「…でも今こうしてちゃんと口にしてくれたから、それでいいかな。もう逃がさない…絶対に。」
「いやそれは俺のセリフじゃない…?」
逃がさないのは俺の方なんだけど?海莉は逃げられない方だよ?
「逃げないようにちゃんと捕まえててね?」
「もちろん。…でもそうか、これで恋人か。」
感慨深いな。俺が普通の人のように幸せを獲得できると思わなかったし…
「幸せ?」
「それはもちろん。」
「…どうするの?これから」
どうするの?とは恐らく、リスナーに説明するのかどうかってことかな?
…うーん、そうだな。
「説明…というか、報告はしようか。お知らせ動画でも作って」
「いいの?炎上したり…」
「全部受け入れるよ。」
そう言うと、海莉は笑ってくれた。…うん、やっぱり可愛い。
「そっか。ありがとね?大好き…」
「俺も好きだよ。」
俺は今幸せだ。…願わくばその幸せが、命ある限り続きますように…
付き合いましたがまだまだ続きます。とはいえ、1つの節目ですかね…
それではまた次のお話で会いましょう〜




