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第192話〜口に角砂糖〜

それではどうぞ

「え〜、言ってくれないの?」


「流石にここではさぁ…後でね?後で。」


「ん〜ふふ仕方ないなぁ!」


(……仲のいいのはいい事なんだけどな。俺のいない所でやってくれればいいのに)


配信開始から1時間後。俺はダイヤくんと六花さんのイチャつきを見せられていた。


何故こうなったかって?それは案の定六花さんが合流してきたからだ。まぁ正直こうなるのは分かってたし嫌ではないんだけど……なんて言うか、ね。


こう……口に角砂糖を無理矢理放り込まれてるような感じ。甘いんだよな…


それをぼそっと言ったところ、普段の俺と海莉も似たようなものだとコメント欄の皆に言われてしまった。…そんなにかい??


「ねぇ!酷いと思わないウルフくん!」


「え?ああごめんなさい聞いてなかった」


ちょっと別のことを考えすぎてたね……良くない良くない。


「酷い〜!!」


「ごめんなさいごめんなさい。で何?」


「ダイヤくんもデートの時もっと積極的になって欲しいなって話」


そんなこと俺に言われても知らんがな…と言いたいが、そうだなぁ。


「そんなに積極的じゃないの?なんか意外だけど」


「手出してこないし……」


「その言い方は誤解を招くからやめて…」


全くスキンシップが無いことに困ってるのか…手すら繋いでくれないのか…そこら辺どうなの?


「自分から手を繋いで来ないんだよこの子」


「ほら、こう言ってるんだから繋いであげなさいよ」


「ウルフくんですらそうしてるのに……多分」


変な事言うな……確かに自分からする時もあるが恋人のそれと一緒にしちゃだめでしょうよ。


「油注いじゃダメだって…」


「あっ…ごめんなさい!」


「いやいいよいいよ。」


これぐらいで今更燃えたりはしないだろ。


「それよりこの状況を何とかして欲しい…」


「普段見せ付けてる側だから気付かないよね。存分に苦しむといいよ」


「自分がいかに残酷なことをしてるかをね……」


そんな残酷なことした覚えないんだけどな。……助けて海莉〜、この2人の中に居るの結構辛いよぉ〜


「…さっさとボタンのとこに逃げるか」


2人に気付かれないようにぼそっと声に出して、本気でその事を計画する俺だった。



「で、逃げてきたの?」


「逃げたというか……まぁ、はい。」


配信開始から2時間ぐらいたった辺りで適当に理由を付けて配信を終わった。…そのまま何故か無性に海莉に会いたくなったので会いに来た。


「まぁ気持ちはわかるけど。…よしよし。大変だったもんね、今日も」


「コメント?」


「そう。」


別にそうでも無い。ほんとに大変なのは俺のコメント欄の管理をしてくれる人達だろう。

それに少なかったしな。どっちかって言うとあの甘い雰囲気を見続けるのは無理だったと言う感じだし…


「人のこと言えないと思うんだけど……まいっか。」


「……何?」


「なんでも〜?珍しく甘えてきた優成くんのために膝枕してあげよう!」


膝枕か……有難くしてもらおう。正直今されると寝そうだけど…


「たまには癒しも必要ってことで。いちゃつきたかったんだもんね?」


「ちが……くもない……けど」


「声が小さいな〜?よく聞こえないよ〜?」


わかってて言ってるよな、相変わらず性格の悪い。

…まぁ、今は受け入れるけど。やっぱりそろそろ認めるしかないのかもしれない。


「何を?」


「何でも。…それより本気で眠くなってきたんだけど」


「どうぞ寝て寝て。膝の上でウルフくんが寝てますってつぶやくけど」


「ほんとに勘弁して!?」


火に油を注がないでくれ……そんなことしたら嫉妬で殺されるわ!


…やるなよ!?ほんとにやるなよ!?

それではまた次のお話で会いましょう〜

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