第160話〜意外と腹黒い?〜
それではどうぞ
「海莉、居る?」
「…居る」
「入るよ?」
そう声をかけて、部屋の中に入る。……暗いし、パソコン付けてるんなら電気つけないと目が悪くなるぞ。
「……ん、何?」
「クリスマス、予定ある?」
「ない。…誘ってくれるの?」
「うん。デートしない?」
海莉がこうなってるのはだいたい予想が付いた。……だから対策として、デートしない?と誘うことにした。
しれっと言ってるが、実は結構緊張している。断るなら断るで全然いいんだけど、誘うとなると緊張するじゃん?そういうことよ。
「………………する。」
そう言いながら俺の胸に飛び込んできた海莉をなだめつつ、成功してよかったと安堵する。
「あ、でも夜は配信があるからあんまり長く外に居られないかも」
「りょーかい。…大変だな配信者も」
「優成くんも配信者でしょ。」
そうだった。…今のところクリスマスに予定は無いけど多分俺も配信の予定は入るし他人事じゃないわ。
「それか全部断って優成くんとデートしてます♡って呟いたりするとか?」
「確実にファンに刺されるからやめてくれ…」
「え〜…しょうがないなぁ。私としてはさっさとアピールしたいのに…」
ファンが大事なVTuberなんだからその辺はしっかりしないと…
「それで言うと、私も優成くんのファンに刺される可能性あるんだけど…」
「俺にそんな物騒なファン居たかな…」
「私のファンが物騒ってこと?」
そんなことは無いんだけど……ガチ恋勢と言われる人たち、いたかな?
…いるわ。うん、いるわ。確かにいる。
「前は何も思わなかったのに優成くんと関わってからそういう人達はウザったくなっちゃったなぁ」
「ごめんなさい…?」
「謝ることじゃないでしょ。」
確かに。俺は悪くないわ。
「優成くんはなんとも思わないの?」
「別に?そういう人達がいるからスパチャ貰えるんだし」
「意外と腹黒いね…」
人聞きの悪い。ただの事実だよ事実。…そういう人達向けにちょっとしたボイスとか出すと売れそうだよね。お金が必要になったら考えようかな…
「知られざる優成くんの秘密かな。」
色々考えている優成くん。…VTuberとして成長してるなぁ。腹黒い部分も最近ちょっと出てくるようになったけど…
ま、私はそういうとこも含めて好きなんだけど、という言葉を飲み込んで優成くんの懐にもう一度潜り込みに行く。
これぐらいは許されるよね?だって……だもん。
それではまた次のお話で会いましょう〜




