第144話〜裏作業〜
それではどうぞ
「あ、やっと起きた。」
俺が朝目を覚ますと…そこには…
海莉がいた。…まぁ俺のベッドにまで入って来ずに外にいるけど……顔は近い。
「……おはよう海莉。」
「おはよ、ぐっすりだったね?」
「……ん…」
そう言われて時間を確認すると……12時?えっ?
「えっ!?もう昼…?あれ、これ壊れた?」
「壊れてないよ〜正常だよ。夜遅くまでやってたから疲れたんじゃない?」
…配信は楽しかっただけだしそんなに疲れてないと思うんだけ…ど…あ。
そういやあの後1時間ぐらいメモとったりしてたな。自分の配信を見返しながらここが良かったな〜とかの確認もしてたし。
眠い中それは確かに…ちょっと良くないかもしれない。
「ね、終わったらすぐに寝るって言ったのに……」
机の上のメモを見たのか、そう発言した海莉。…あれ、これもしかして怒ってる…?
「怒ってないよ?全然怒ってはない。ただちょっとお話しないとな〜って…思ってるだけだから」
「怒ってるよね、絶対怒ってるよね?ごめんって、悪かったから…!!」
目が怖い。顔は笑ってるのに目が笑ってない現象、実際に目にするとこんなに怖いんだね…
「…もう。今度からちゃんと寝る!睡眠はしっかり取らないとダメなんだから」
普段から夜遅くまで起きてる海莉に怒られることになるとは思わなかったけど、純粋に心配されているので何も言えない。
「ごめん、気を付ける。」
「わかればいいの。…次遅くまで無理して起きたら……わかってるよね?」
「イエッサー!」
「よろしい。…お腹すいたでしょ?ご飯食べよ?」
怒ってる時から打って変わって女神のように優しい顔になり、そう言ってくれる海莉。可愛い。
じゃなくて。
「確かにお腹空いたな……朝食べてないし」
「お昼の準備は出来てるからね。着替えて顔洗っておいで!」
「…毎日ありがとう。」
こうして毎日毎日用意してもらうの、やっぱり悪いよな…本人は私がしてあげたいからいいの!と言ってくれてるけど…
「いいのいいの。楽しいから。」
……やはり日頃の感謝は頻繁にするべきかもしれない。楽しそうにしてくれている海莉を見ながらそう思ったのだった。
「でどうなの?」
「ん〜、後はまとめるだけかな。今日中には収録終わるんじゃない?」
この後まとめて、そのまま撮影すれば終わるだろう。あとは確認して編集して向こうに提出して、それでOKなら公開って感じだし。
まぁ大変なのは編集だけど……なんとかなるでしょ。
「無理しないならいいんだけど…私編集とか手伝うから言ってね?」
「自分のことで忙しい人にお願いするのは申し訳ない…」
海莉も海莉で案件とか色々とあって忙しいのにお願いは出来んよ…
それに海莉はメンバーシップだったか?有料のサービスの方もやって、そっちの限定放送とか動画とかの準備もあるらしいし。
「う〜……」
「落ち着いて落ち着いて。海莉が頼りないって言ってるわけじゃないんだから。忙しいだろうから申し訳ないって言ってるの。」
「忙しくないっ!」
「…分かった、わかったから。…あくまでお手伝いね?」
軽いお手伝いだけで、ガッツリはダメだからね?と言い聞かせる。本人はやったー!と喜んでて聞いてるか怪しいけど…
「あ、コラボの方どうなったの?」
「1人目が決まったらしいよ。連絡来てた」
さっき確認したところ決まったらしい。しかもご丁寧に向こうで企画を考えてくれていたらしい。
非常に助かるね。
というか、今回のコラボさんはほぼ全員企画を考えてくれたらしい。…いい人達の集まりだ。
「良かった良かった。これで優成くんにもお友達が増えるね…!」
「別に要らないんだけど……」
今更友達が欲しいとは思わないよ。ただちょっと……羨ましいなと思う時はあるけど。
「…ご馳走様。」
「片付けるから作業してきていーよ!私今日はまだ暇だから!」
「うーん……じゃあお願いね?ありがとう」
片付けぐらい俺が…と言おうと思ったのだが、せっかくこう言ってくれてるんだし甘えよう。
その分だけ早く終わらせて海莉を労うことにしよう。そんなもんで返しきれないけど……
さてさて、今からまとめてセットして録音だな。まずはメモをまとめる作業か……
VTuberになってから知ったが、こういう裏の作業をしっかりしてるからこそ面白いんだろうなあの人達は。
俺もしっかり頑張らないとな……
裏作業ほど重要なものはない…
それではまた次のお話で会いましょう〜




