第132話〜逃がさないから〜
それではどうぞ!
「…ついにか。」
もうかれこれ数時間。一応色んな人の枠に行って盛り上がってる時にしれっとコメントをしつつ過ごしてきたが…
念願の海莉の番だ。海莉の番を見れるのは楽しみだ。
「よいしょ。…こんばんは?まだこんにちはかな?こんにちはー。」
・こんにちは
・こん!
・始まったー!
「みんなこんにちは〜。初めましての方は初めまして!蒼花ボタンです。よろしくね?」
可愛い。うん、可愛い。
・可愛い
・はいかわいい
・好き
「可愛い?そんなことないよ〜。私の枠では最初ちょっと歌おうかなって思います!」
まぁボタンと言えばだし、久しぶりに聞いてみたいかも。
「〜じゃあまずはこの曲〜!」
そう言って最近話題になった恋愛ソングが流れ出した。
それがまた海莉の歌声とマッチして一気に引き寄せられる。
・上手い
・凄い……
改めて聞くとほんとに上手い。ずっと聞いてられる程声がいいし。歌い方もなんか他の人と違ってるんだよな。アレンジ?ってやつなのか。
その辺は素人だしよく分からんのだが、まあとにかく海莉の歌はすごいと言うことで。
「ふう。どんどんいくよー!」
次の曲は……アニメの曲か。俺はアニメ自体見ることがないが曲は有名になってた気がする。
VTuber見てくれてる人達の層に合ってるし、その辺流石だな。
コメント欄も大盛り上がりだ。俺もしれっと上手い!とコメントしておく。
「〜。楽しいねー歌うのは。ウルフくんありがとー」
しっかりコメントしたことに気付かれてた。流れが早いからすぐ流れるかと思ったんだけど…
「他の人みたいに流れの早い時にコメントしようったってそうはいかないからね。ちゃんと見てたから」
思考まで読まれとる……コメントするのそんなに得意なほうじゃないからしれっとやってたんだよね。
・さす妻
「妻なんてそんな……まだ早いよ……」
そこじゃない。否定すべきはそこじゃない。まだって言ったらこれから先予定あるのかと思われるだろ!
「じゃあ次〜!」
次に流れるのはまたしても恋愛系の曲だ。海莉がよく歌ってるイメージがある。
・夫のウルフさん感想をどうぞ
夫じゃないんだけど……まあ言うべきか。
・凄くいい、最高。あと夫じゃないよ
「ありがと〜!ウルフくん!」
そうだよね、まだ結婚はちょっと早いよね〜と言いつつ次の曲に切り替わる。うん、もう何も言うまい。
その後も順調に曲を歌っていく海莉。今日は恋愛ソング多めだなぁ、アニメの曲や他のジャンルも歌ってるから気づきにくいけど。
「ふ〜。あ、最後の10分ぐらいは…そうだね、私も他の人みたいに質問コーナーにしようかなと思ってるから考えといてねみんな!〜〜」
なるほど、海莉も質問コーナーやるのか。俺が見てる範囲でだが、結構質問コーナーをしている人が多い。
やっぱり自分に興味を持ってもらいたいんだろう。色んな人に見てもらえる機会だもんな。
「あ、残り10分になったね。質問返答たーいむ!」
時間になったので歌うのをやめ、質問の返答に入る。
…何も考えてなかったな。しまった…まあいいか。
・ウルフさんのこと好きですか?
「ウルフくん?好きだよ。どこが好き?…んー、優しいところ?あと癒される」
………………………………………………
・サラッと言った…
・凄い、尊いです
・好きな食べ物と嫌いな食べ物
「好きな食べ物は〜…なんだろう。嫌いな食べ物がそんなにないからなぁ…」
わかんないやと笑って言う海莉。…確かに好き嫌いしてるところを見たことないな。
・好きな異性の仕草は?
・彼氏いますか?
…なんかこういう質問多いな。みんな気になるんだろう、それだけ人気ということかな?
「仕草?仕草って言うのかわかんないけど普段頼りになる男の人がふとした時に甘えてくれたりすると…うん、可愛いなぁってなったりするよね。彼氏はまだ居ないね〜」
この他にも
「好きな人誰ですか?…ウルフくんかな!今後何か大きなことする予定はありますか?んー1個だけある!まだ言えないけど楽しみにしてて!」
とか
「好きな人を遊びに誘いたい?どういう関係かわかんないけど普通に話して仲良いんなら映画とか…これからだとイルミネーションとか?他にもその子の好きなとことかに誘ってあげればいいんじゃない?」
みたいな質問にも返答していき、時間が経過して行った。
「あ、もうそろそろだね!…えーと、次の方は概要欄にリンクあるから行くんだよみんな!じゃあ、私の枠はこれで終わります。お疲れ様でした〜ボタンでした!まったね〜!ばいばいー!」
配信が終わった。次の人のところに行こうとした時、海莉が部屋に入ってきた。
「ゆ〜せいくーーん!!!」
「え、何っちょ、まって。待って待って!」
抱きつかないで……危ない、危ないから!
こけて怪我でもしたらダメだから、一旦引き剥がす。
「…って、そんな悲しそうな顔しないで。怪我したら危ないから…ね?」
「ん…いい?」
なんの確認か知らんけどいいよと言う。…っと、今度はしっかり受け止める。
「…急にどうしたの?」
「えへへ、ちょっと…抑えきれなかった!」
そこは頑張って我慢して欲しかった。色々と当たるから…ね、我慢するのが大変なんだよ。
「ね、優成くん。」
「…なに?」
「VTuberになって…良かった?」
真剣に聞いてきたので、俺も真剣に答えることにする。
「うん。それはもちろん。」
VTuberになれなかったら俺はきっと未だにあの地獄の日々の中だろう。あるいは死んでたかもしれない。
それに、海莉に出会えなかったわけだしな。
「そっか。良かった。……逃がさないからね」
「?何か言った?」
「何でも〜。ご飯どうしよっか?」
「そうだな〜今日は……」
そうして話をしながらリビングに向かう俺達。
海莉が呟いた一言は誰にも聞こえなかった。
気分を変えるためにちょっと色々しようかな〜
イルミネーションとか見に行きたいですね(気が早い)
それではまた次のお話で会いましょう〜




