第13話〜新たな家?〜
ブックマークがいつの間にやら300超えていて、本当にありがたい限りでございます。
それではどうぞ!
「あの…本当にいいんですか?」
「心配しすぎだよ。気にしなくても出ていけなんて言わないから」
海莉さんに病院に連れていってもらった後、しばらくの間海莉さんの家に住ませてもらえる事になった。一軒家だし、私一人しか住んでないから広さは問題無いし、遠慮なく住んでねとのこと。
「部屋はここ使ってね。…今日は布団で申し訳ないけど、明日辺りにちゃんとベッドとかその他の必要なもの買いに行こっか」
「は、はい。ありがとうございます。」
「あ、そういえばご飯は食べた?」
「軽くは食べたんですけど…流石にちょっとはお腹空きました」
「分かった!じゃあちょっと用意するから待ってて〜」
そう言って下のリビングに向かっていく海莉さん。…何から何までしてもらいっぱなしだなぁ。病院でもなんか色々先生と話してたみたいだし…何話してたんですか?って聞くとはぐらかされるし…
にしても、部屋が広い。まだあんまり物が置いてないからって言うのもあるのかもしれないが、それでも前の部屋より広い。
これからどうしようかな…住むところは当分なんとかなったわけだけど、いつまでもこのままって訳にも行かないだろうし。
はあ…とこれからの事を考えて若干憂鬱になっていたところで、海莉さんが出来たよ〜と呼んでくれた。…とりあえず後にしよう。
「おお、凄い……」
「簡単に出来るものとか余ってたものしかないからそんなにだよ。早く食べて」
「い、いただきます。」
簡単にできる(当社比)だろうか。肉じゃがやコロッケやロールキャベツにお漬物…まあ流石に漬物は買ってあるやつだとしてもコロッケやロールキャベツは手間がかかると思うんだけど…
「美味しい。味がしっかりしてる。」
美味しい。いつも一人で食べるようなご飯とは全く別物の美味しさだ。
「良かった。気に入ってもらえて。作った甲斐があったなぁ」
「人から作ってもらった料理って、こんなに美味しかったんですね。…本当に、美味しい」
「いつも自分で?」
「はい。自分で作らないと自分の分無いですし、と言っても才能がないのかここまで美味しいものは作れないんですけど…」
自分の料理を自分で食べても、普通だな。と思うか美味しくねぇなのふたつしかない。
「でも、自分で作るだけ偉いよ?君の歳でそうやって自分で作ってる人なんて全然居ないだろうしさ。」
「そうですかね…」
そうなのかな。料理ぐらい、味が普通で良ければ誰でも出来ると思うんだけど…。まぁたしかに、毎日作るのは大変だけど。
「そうそう、大変だからね毎日は。だから自分で作ってるだけでも偉いよ。」
なんか、こうして褒められると嬉しいは嬉しいが恥ずかしいというか。
照れ隠しを込めて海莉さんから視線を外し食べるのに集中する。何故か海莉さんが笑ってるような気がするが、無視だ。
「…ご馳走様でした。美味しかったです本当に」
「美味しそうに食べてくれるから私も満足。片付けちゃうから、テレビでも見てゆっくりしてて」
それぐらいは…と言いかけたところで、私がやりたいだけだからと優しく言われた。優しい…
でも、見たいテレビとか無いんだよな。というかそもそもテレビはそんなに見ないし。んー…
悩んだ末に、ボタンの動画でも見る事にした。邪魔にならないように控えめな音声で……お、始まった。
にしても、推しに生きる活力を貰ってると思ってたら本当に生きるために助けて貰ってるんだもんな。…どうやって恩を返せばいいんだろう。
「何を見てるのかな〜?」
なんてことを考えながら動画を見ているといつの間にか片付けが終わってたらしい海莉さんが後ろにいた。
「…びっくりした。いきなり後ろにいないで下さいよ…」
「ごめんごめん。でも本人がいるのに気が付かないんだもん…」
ちょっと拗ねたような感じで言われると…可愛いな、この人。
「それはすみません。…機嫌直してください」
そう言って彼女に向き合う。気が付かなかったということはちょっと前からいたのだろう。悪いことしたな
「そこまで気にしてないから大丈夫だよ」
「そこまでってことはちょっとは気にしたんですよね。すみません」
「それだけ私に夢中になってたってことだからいいんだよ。私がいる時は話したいけど、ね?」
はい、もちろんです。と言うと微笑んで、お風呂に入っておいでとお風呂場まで案内してもらった。…着替えはないから今日はこの服で我慢するしかないけど。取りに帰りたくないし。
お風呂に入り、あんまり長く入っているのもなと思い10分程で上がる。…何となく予想はしてたけど、お風呂も広かった。
「あ、上がった?」
「はい。お風呂、ありがとうございます」
「これから暮らすんだからそんなに固くなくていいのに…って、髪の毛ちゃんと乾かしてないじゃん。風邪ひくよ?」
全然気にしたことが無かったですと言うとこれからはちゃんと髪の毛乾かしなさい、ドライヤー使ってもいいんだからね?と諭された。
「せっかくこんなに髪質いいのに…勿体ないよ?」
「気にしたことなかったですね…」
「しっかりすればモテると思うんだけどなぁ…髪型とか服装とか整えれば化けるタイプなんじゃない?」
「そうでも無いですよ。そもそもセンスありませんし…」
「じゃ、明日は似合う服見繕って上げないとね!」
うーん。そこまでしてもらっていいのだろうか。服はいくつかないと困るにしろ、別に適当でもいいのにな。
「はい、これで乾いたかな。」
「ありがとうございます。次から気を付けます」
「うんうん。…どうする?今日はもう眠る?明日も色々動き回るだろうし、寝るなら寝ちゃってもいいよ?」
「…そうです、ね。ちょっと眠いので、寝させて貰います。おやすみなさい、海莉さん」
「うん。おやすみ、優成くん。」
そうして、俺は布団に入り直ぐに眠りについた。危険を加えられる心配がないからか安心して寝る事が出来た。
「…あ、もしもし。ちょっと連絡はしたと思うけど…そう。思ってるよりも早かったね。…大丈夫そう?良かった。彼?今のところは…だいぶ心は弱ってたけど、持ち直せると思う。…うん、お願いね。あとで診断書送るから。」
「大丈夫だよ優成くん。今まで他の人たちは守ってくれなかったかもしれないけど、私が…私達が今度は守ってあげるから」
聞かれてるはずも無いけど、そう呟く。
それではまた次のお話であいましょ〜




