第120話〜ゆっくり話そう〜
それではどうぞ〜
「優成くん〜?着替え忘れてるから置いとくね〜?」
ん…海莉か。急いで出てきたから着替え忘れてたのか……
「ありがとう海莉、助かるよ〜」
シャワーで頭を洗ってる最中なので声を張りつつそう答える。
「置いといたよ〜」
「ありがとう〜」
頭と体を洗い終わったので湯船に浸かる。………ふう、落ち着く。うん。
「すき……ねぇ」
嫌いとか無関心とかなら慣れてるからあんなにドキッとすることもないんだけどね。
……まあ、流石に想像してる好きではないだろうしそこまで気にするのも良くないんだろうけど。
早く忘れよう、あんまり気にしないようにしようと自分に言い聞かせて頭から振り払う。
しかしこの後20分ぐらい脳裏から離れなくて困るのだった。
「あ、上がった?」
長めだったから何かあったのかとちょっと心配だったと言う海莉。
「うん。ごめんごめん、ちょっと考え事してて…」
「…大丈夫?何かあるなら相談に乗るけど…」
「だ、大丈夫。気にしないで」
言えませんよ、特にあなたには。
「そう?ならいいけど……」
「海莉は入らないの?」
「私は後で入るから。ちょっとやる事がね…」
こう見えて(って言うと失礼だが)普通に忙しいからな海莉。色々とやらなきゃ行けないことは多いわけで。
「程々にね?」
「私は無理しないもん。優成くんと違って」
「俺も無理した覚えはないんだけど……」
「すぐ無理しそうだし……あれ?髪の毛は?」
「?ああ、ほっといてもすぐに乾くかなって」
男だしそんなに髪のケアを気にしてるわけじゃないし。短いからすぐに乾くだろうと思って乾かしてない。
「……そこで待ってて」
そう言うと立ち上がって、風呂場の方に消えていった海莉。俺は大人しく待っていることにする。
「はい、ここ座って。」
椅子に座らされる。……何がしたいんだろうと思った直後、タオルで頭を拭かれる俺。
「ちゃんと乾かさないと駄目でしょ?風邪引いたら大変なんだから…」
怒りながらも優しく丁寧に髪の毛を乾かしていく海莉。……ちょっと気持ちいいな。
「気を付けるね、ごめん。」
「ちゃんと乾かしてなかったら怒るからね〜。……はい、終わり。」
「ありがとう。」
素直に感謝する。……ちょっと気持ちよかったから忘れてもいいかなと思う自分もいるが、やはりこういう所で甘えるのは良くないだろう。ちゃんと気を付けないとな。
「どういたしまして。ココア飲む?」
「あ、入れてくるよ。」
じゃあお願いね、と言われつつココアを入れに向かう。流石にこれぐらいはやらないと…ね?
「よいしょっと。」
「ありがと。ちょっとお菓子でも食べて話そ?」
机を見るとお菓子が出されていた。用意してくれてたのかな、美味しそう。
「最近、何か配信とかで困ってることとかはない?」
「特に無いかな。毎日楽しいし」
「そっか、なら良かった。…やりたいこととかはある?」
やりたいことかぁ。……特には何も思い付かないな。
「思いついたら言ってね?私でも力になれるだろうし…」
「色々心配してくれてありがとう。何かあったら相談するから大丈夫だよ」
「なら良かった。…今月のカウンセリングはこれで終わりっと。」
カウンセリング…???
「何か配信で困ったこととかがあれば解決するよ〜って言う…確認みたいな?」
本当はマネージャーとかがやるんだけど距離が近い私の方がいいんじゃない?ってなったから、らしい。
「なるほど…」
そういう所ちゃんとしてるんだな、うちの事務所って。てっきり考えて無いのかと……あ、このお菓子美味い。
「それ美味しいよね〜。私も好きだよ。」
確かに海莉はよく食べてる所を見るなぁ、言われてみれば。
「こっちも美味しいよ?」
「…ほんとだ。ちょっと酸っぱい?」
「程よい酸っぱさだよね〜。」
そうしてしばらくの間、海莉と2人でお菓子を食べながら色々な話をしたのだが……気が付けばもう寝る時間だった。
楽しくて話しすぎたな。海莉にもやることがあるだろうし、少し申し訳ない。
「いいのいいの。すぐ終わるし。」
優成くんは寝る時間でしょ、寝ておいで〜と言われる。たしかにちょっと眠い。
「おやすみ、海莉〜」
「おやすみ〜、ちゃんと暖かくして寝るんだよ〜……さて」
優成くんを見送ったあと、私はパソコンに向き直る。つい楽しくて話しすぎちゃったぶん、頑張らないとね!
ちょっとした息抜き。
それではまた次のお話で会いましょう〜




