表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/411

第12話〜真に、ここから変わる〜

前半はちょっと暗いお話しかもしれませんが後半はちゃんと癒し?なはずです。それではどうぞ

「あんた、何してんの?」


……………終わった。俗に言う詰んだというやつである。


「なんでもいいだろ」


お前に関係はないと抵抗をしてみる。…まあ、無駄だろうけどさ。


「は?なんでもいいわけが無いでしょ?…そもそも」


近付いてくる。


「誰の許可を得て笑ってんの?…あんたが!楽しんでるんじゃないよ!」


そう言って顔を殴られ、その衝撃で俺は壁にぶつかる。痛い。


「だいたい、あんたがいるから…!」


「あんたのせいで…!!何も知らないで、あんたなんかが人生を楽しんでるんじゃないよ!!!」


そう言って俺を蹴る。殴る。ひとしきり嬲っていく。


「はあ……ったく。消えな。」


「え?」


「私の前から。あ、そうそう。」


そう言って、おもむろに歩き出す。行き先は……


「ふん。あんたなんかがこんなもん使うなんて、贅沢なのよ。」


そう言っていつの間にか手に持っていた棒状のものでモニターを壊し、PC本体をぶっ壊していく。…あれ、いつの間に持ってきてたんだ?てかそこまでするかね普通。


なんでここまで俺を嫌ってるんだろうな。俺がいるから自分が自由に出来ないとか?…だったらそもそも産まなきゃいいのに。



「…ふぅ、これで煩わしいものは何も無いね。わかったら早く消えな。」


そう言い放って俺の横を通っていく。…通る時まで蹴らなくても……痛てぇ。


「ごほっごほっ…。…とりあえず、動かないと」


動かないとこれ以上に酷くなる。動くと全身が痛いが、そんなことも言ってられない。


何となく、そこにあったスマホを手に外に出る。


どことなく歩きながら、考える。なんで生まれたんだろう。なんで生きてるんだろう。


俺が何をしたのだろうか。俺はあそこまでされて当然な事をしたんだろうか。一体俺が、何を…


いつの間にかたどり着いていた公園のベンチに意味もなく座り、意味もなく考える。…どれぐらいそうしてただろうか、いつの間にか携帯が鳴っている事に気がついた。


「はい、もしも」


「優成くん!?大丈夫?何かあった!?」


うるさっ。思わずスマホを耳から離してしまうぐらいにはうるさい。


「海莉…さんですか。何も無いですよ、そんなに慌てなくても…」


「ならどうしてそんなに悲しそうな声してるの?…わかった、今どこに居るの?」


「えっと…公園にいますが…」


わかった、そこ動かないでね!と言われ電話が終了する。こちらに来るつもりだろうか。…なんで海莉さんは、そこまで俺に優しくしてくれるんだろう。なんで…



「はあ…はあ…はあ…いた。」


「海莉さん。……何をそんなに慌てて」


「慌てるに決まってるでしょ!…大丈夫?早まったりしてない?」


「早まる…って、何を?」


「そっちの気はなさそうなのが幸いかな。…ほら、立てる?病院行こ?」


「なんでですか?怪我なんてしてないのに…」


「何言ってるの。所々痣があるのに…それに唇だって切れてるでしょ。」


分かったら私と病院に行くよ、と引っ張ろうとする海莉さん。


「行っても意味なんて無いです。お金がかかって終わりです。ほっといて下さい」


「ほっとけるわけ無いでしょ。君がこんなに傷付いてるのに…」


「あの人は私の前から消えろって言いましたから、傷を直そうが何しようがこれから先生きていけませんし。……もう、ほっといてください」


優しくしないで欲しい。どうせ、みんな……

もうこれ以上、俺に……夢を見せないで…


頭の中で思ってた言葉だが、思わず口に漏れてしまっていたのだろう。その言葉を聞いた海莉さんは少し目を閉じ、何かを考えて…


ゆっくり目を開けたと思ったら、俺の目を覗き込んできた。


「私が君を助けるのは、君が大切だから。君がそう思ってしまうのは、仕方ないとは思う。けど、全員が全員君の事が嫌いなわけじゃない。君に酷いことをする人ばかりじゃない。」


「そんなこと…」


「ある。あるの。私がそう。…私は、あなたの推しとか関係なくあなたを助ける。ね、全部私に任せてくれない?きっと何とかしてあげるから」


……駄目だ。これを、この優しさを受け入れるともっと辛くなるぞと警告する脳内。わかってはいるんだ。これを受け入れると失うことが何より怖くなるって。


けど、その声に俺は勝てなかった。…こんなにも真剣に俺を見て、真剣に話し、真剣に考えてくれる。それだけでも俺には嬉しいのに…この人が向けてくれる優しさを、俺は拒絶出来なかった。


次は、声が出なかった。ただ、頷くことだけで精一杯だった。…ここまで俺のために真剣になってくれて、何より受け入れてくれる。それだけで泣きそうだし。


「うん、偉い。…大丈夫だよ、私が居るからね。」


優しくそう俺の頭を撫でた後、彼女は俺の手を引いて病院に向かった。

本当の意味でここからスタートですね。


それでは、また次のお話であいましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ