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八剣魔王伝〜奏日女護国物語〜  作者: ふくふくろう
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旅路2 真澄と清明

女三の宮の行列には牛車が3台連なっていた。

その内の一台に密教の大僧正である真澄と陰陽師を束ねる安倍家の嫡男清明が乗っていた。

何方もこの度の生き神である三の宮が無事カナデヒメノミコトに成ることを見届ける為の見届け人であり正当な生き神であることの証言者となるためである。


清明は安倍家の嫡男として生を受けた。

そしてその陰陽師としての力は安倍家始まって以来のもので最強と言われている。

払った鬼は数しれず。政敵でもある土御門家の陰謀で父親を殺されたときも『反魂の術』を用いて見事生き返らせたと言う。

もっとも、清明曰く「父親は死んでいなかった」らしい。かなり危険な状態であったが死んではいなかったので助かったのだと。

「いくら私でも死んだ者を生き返らせるのは無理ですよ」

と真澄ににっこり笑いかけた。

齢16のまだあどけないその笑顔は可愛らしく見た目だけでは最強の陰陽師には見えなかった。


真澄も柔和な物腰で気が付かないがなかなかの苦労人である。

真澄は黄国の貴族に生まれた。

黄国の貴族は皇族を含め八旗のどれかに所属する。真澄は八旗でも有力な正藍旗の筆頭であり将軍でもある藍将軍の嫡男といて生まれた。

正妻の子であり第一子でもあったので期待され大切に育てられた3歳までは。

藍将軍の正妻であり真澄の母親でもあった楊玉児はたまたま黄国にポリスから来ていたレギオンであるマルクスに一目惚れした。元来女好きであるマルクスは玉児をたぶらかし玉児は3歳の真澄を残してマルクスと駆け落ちした。

真澄を藍家に残したのは嫡男だからではあるが単純に愛の逃避に子供は邪魔だったのだろう。

真澄が嫡男でなくても置いて逃げただろう。

玉児が逃げた先で産んだのが飛燕である。


藍将軍は面子を潰され大いに怒った。

息子である真澄も憎しみの対象になっていた。

それでも藍家の男子は真澄だけであったので跡取りとして大事にされた。

しかし、後妻が娘を産んだ後に息子も産んだので立場が微妙になった。

後妻とはいえ現在の正妻が息子を産んだ。 しかも正妻は現黄国皇后である姫皇后の従兄妹でもある。そうなると男と逃げた前妻の息子など邪魔ものでしかない。

5歳の真澄は弟が産まれた3日後には寺に出されて出家した。

その時に真澄という法名を与えられたのだと言う。親に付けて貰った名前はもう忘れてしまったらしい。


寺での修行は厳しかったがそれなりに充実していた。

それなのに玉児は再び黄国に戻ってきた。今度は皇帝の貴妃として。

そして弟の月が産まれたが瞳が赤く皇帝の子では無いのでは?と噂になった。

玉児は気鬱を理由に廃妃となり冷宮に飛燕と月共々幽閉された。

そうなると息子である真澄はますます厄介者になる。

そんなおり倭国から僧侶の交換留学の話がきた。渡りに船とばかり真澄は倭国行の船に乗せられて派遣された。

留学とはなばかりで帰って来れない片道切符なのは誰も真澄自身よく理解していた。

次回はいよいよ下総国に到着します。

乞うご期待!

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