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「春宵ミステリーツアー殺人事件 《解答編》」 真波馨 【SS(ショートショート)ミステリ】
A:雛人形の中には、「随身」と呼ばれる武官の姿をした人形があります。通常、右大臣と左大臣に分かれていますが、どちらの人形も背中に矢の束を背負っています。犯人は被害者を毒殺した後、花見に夢中になっているツアー参加者の目を盗んで随身が背負っている矢の中に毒針を紛れ込ませたのです。毒針自体細くて目立ちにくいうえ、随身の人形の背中に隠れて容易には見つけられないだろうと考えたのでしょう。なお、この殺人事件はミステリーツアーの企画の1つで、実際に殺人が行われたわけではありません。巨体の男は被害者役を見事に演じきり、あるツアー参加者は「エイプリルフールネタにしては随分早かった」とツアー企画者宛に感想を送ったのでした。




