「チェリーブロッサム消失の怪(後編)」 IDEECHI51 【推理】
ヴィン・アルシンドはニコニコ微笑んでいた。
「あなたね……ふざけないでくださいよ!」
ジョン・スパクロウは顔を赤くしながらも怒ってみせた。
巨大液晶画面に映ったのはラプラス市市長のララァ・メイスン市長だ。彼女は縄で拘束されていたが、全てが市の仕組んだドッキリだと告白した途端にスッとその縄も解けた。
『本日はエイプリルフールです。昨晩各局のテレビ番組内では事の真相を告げていました。でも午前3時にはそんなに起きている人もいなかったかもしれません。ライトル署長がおっしゃられたように、明朝5時よりレプリカの撤収を行わせていただきました。レプリカは隣町のレーズン市へ引っ越しました。朝の9時までにはテレビをつけていた人ならわかったでしょう。このドッキリがいかにもそのように見えた人は10時~12時に目を覚ましたそこのあなたになります(笑)』
メイスン氏の話は市をあげて取り組んでいる「早起き運動・健康啓発」の話題へと発展した。何だと言うのだ。寝坊したことが悪いとでもいうのだろうか……
ジョンが肩をしょげると、ヴィンが肩をポンポンと叩き、1枚の封筒を渡した。
「これは?」
「ボーナスですよ。スパクロウ刑事。休みでも寝坊しちゃいけないなぁ(笑)」
ヴィン・アルシンドのウインクには何よりも奥深い温かみがあった――




