表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

プロローグ

 作中に出てくる西サハラ共和国は、架空の国です。

 何故、このような国が出来たかは、第1章の後で、説明します。

 

 カラカラというシーリングファンの音と、窓から差し込む太陽の光で、私は目が覚めた。

 昨日から、外泊許可を取って、基地から外出して休んでいるのを、寝ぼけていた私は忘れ、慌てて軍服を着ようとして、ベッドを出ようとした時に気づいた。

 ベッドの中に男、彼がいた。


 とうとう、やっちゃった。

 あれ程、結婚式まで純潔を保とう、と固く決めていたのに。

 あーあ、後悔先に立たず。

 でも、彼ならいいか、サムライの血を引くことを誇りにしている彼だ。

 万が一の場合、きちんと責任を取ってくれるだろう。

 それに、一応、お互いに親にも言ってない段階だが、婚約もしてくれたし。

 私は、自分で自分を納得させ、まだ、寝顔の彼の頬に、目覚めのキスをした。


 私、アラナ・ハポンは、バレンシアの名うての娼館「饗宴」の女主人、カサンドラ・ハポンの一人娘だ。

 私は、父の名を知らない。

 私が6歳の頃からだったと思うが、父の事を聞くと、母が思い切り不機嫌になるので、自然と父の名等を母に聞くのを止めた。


 母は、意外と謎が多い。

 スペイン内戦の混乱の際に、家族を全て失い、生き延びるために「饗宴」に転がり込んだという。

 だが、それにしては不思議なことがある。

 内戦終結後、当時の「饗宴」の持ち主は、内戦中は共和派に味方していたこともあり、国外逃亡したのだが、その際に「饗宴」を買い取ったのが、母なのだ。

 母はそんな金をどこから調達したのだろう。


 そして、母は、私以外には、身寄りが誰もいないし、「饗宴」に転がり込む以前の知人もいない。

 たまに、「ひょっとして」と、街で見知らぬ他人に声を掛けられることもあるが、母が名乗ると、「他人の空似かしら」と首を捻って、その人は去っていく。

 母は、その度に、秘かに溜め息を吐いている。

 確かに他人に間違われるのは、気づまりだろうが、それにしても、と思う。


 話は変わるが、私は、10歳になるかならないか、の頃から、男相手には辟易する羽目になった。

 そもそも、「饗宴」の女主人の一人娘なので、娼婦だと私は誤解されることが多い。

 母も、一時は「饗宴」の娼婦として、客を取っており、私の実父は、その相手だという噂もある。

(母に、私が、その噂を問いただすと、私は、母に叱り飛ばされ、しばらく母は私と口を利かなかった。)

 それに、私の体型が問題にもなった。


 今、私は、日本の戦闘爆撃機「雷電」を操る操縦士なのだが、「雷電」だから大丈夫、という噂が流れる程の巨乳にして、見事なプロポーションの持ち主なのだ。

 自慢じゃないが、私のバストは、(公称)Fカップの91、でも、実際はHカップの90台半ばという素晴らしさだ。

 ヒップも、90台という現実がある。


 もう、私が10歳になるかならないか、の頃から、「饗宴」の客の複数から、私を指名して、関係を持ちたいとの声が掛かる有様だった。

 母が、あの子は10歳そこそこで、というと、大嘘だ、と非難されたらしい。

 その頃から、学校でも、私は、金さえ出せば、幾らでもやらせてくれる女、と言う陰口に悩まされた。


 だから、空軍士官学校に私は志願し、空軍士官への路を歩んだのだが。

 空軍士官学校時代も、同様の陰口に、私はずっと悩まされた。

 空軍士官任官後も相変わらずだった。

 それ故に、こんな場所まで、私は来てしまった。


 ここは、西サハラ共和国、かつて、スペイン領モロッコと言われた場所だ。

 ここには、いろいろな厄介事が押しつけられた結果、1960年の現在、モロッコの支援を受けた反政府軍が活動し、スペイン軍とフランス軍を中心とするNATO軍が、西サハラ共和国を支援して、反政府軍を攻撃している。

 私は、そこにNATO軍の一員として、スペイン本国から派遣されていた。 

 ご感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ