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第1話「紅の巨人(5)」

 G.U.A.R.D.雷島極東基地から、音速のスピードで空を翔ける2機のガードバードが飛び立って数十分後。B県の山間部を跋扈するグロウスと遭遇した。グロウスは我が物顔で山の木々を、その巨体で踏み潰していた。

 グロウスは木々を蹂躙するのに夢中でまだ自身の頭上にいる2機のガードバードの存在に気が付いていない。

 ガードバードAのコクピットのチームサブリーダーのタクミが指示を出す。


「グロウスを肉眼でも確認。攻撃を開始する。前回の個体を撃退した時同様、各機のビーム兵器で対象を攻撃の後、ガードバードAの両翼のOD弾頭ミサイルで倒す」

『了解』


 Aがグロウスの前方に、Bが後方に展開する。グロウスはようやく、頭上の戦闘機2機の存在に気がつき、「ぐわあああああああ!」と雄叫びをあげ、戦闘機を威嚇する。各メンバーが戦闘機のコクピットで攻撃対象にビーム兵器の標準を合わせる。


「ターゲットロックオン。各機攻撃開始!」


 タクミの言葉と共に、ガードバードのビーム兵器が発射される。そのビームの各色は戦闘機の色と同じだった。Aが赤、Bが青。色は違えど、そのビーム兵器の名前は「ウィニング・レイ」と統一されていた。赤のビームがAに付けられた2つの長い砲身から発射され、Bの青色の光線が両翼の短い砲身から発射される。そしてそれは数秒間に何回も連続で発射され続けるのだ。

4つの砲身から同時に出た、それがグロウスの巨体に直撃する。巨大鼠の頭とお尻にビームがモロに当たり、グロウスが苦しそうにもがいて咆哮する。


「やった!効いてる!効いてる!」

「セイジ、うるさいぞ!」


 ガードバードBの内のコクピットでセイジとライトがそんなやり取りをする。ライトははしゃぐセイジを咎めたが、そんな彼も内心(今回もそんなに苦労する事はない)と思った。

グロウスは巨大だが、そこまで強い怪獣という訳でなかった。前回の個体もすぐに撃退出来た。ただの巨大化したドブネズミのような物と考えていた。

 連続ビーム兵器をその巨体で受け止め続けながらも、苦しむグロウスが自身の頭を後方にいたガードバードBに向ける。鼠は自分に対し、攻撃を続ける戦闘機を睨みつける。その時、ライト達に思いがけない事が起きた。

 グロウスが大きな口を開いたのだ。だが、それは鳴き声を出す為ではなかった。そして自身の口から黒い大きな煙をライト達が乗る戦闘機に向けて吐いたのだ。それは黒く汚れた息のようにも見えた。グロウスは黒い煙を吐き終える。ライトは驚きながら、攻撃を一時中断して、機体を操作してすぐに回避行動を取った。機体はなんとかそれを避ける。

 戦闘機に当たることなく、行き場を失った黒い煙はその場で空中に舞うとすぐにそれは風で掻き消され、消滅する。黒い煙を吐き終えたグロウスは自身から離れていったライト達の機体を忌々しく睨み続け、また「ぐわあああああ!!」と鳴き声を発していた。


「な、なんだ!?」

「先輩、なんですか?あの黒い煙は?聞いてないっすよ!」


 ライトとセイジは機体のコクピット内で目を丸くしていた。グロウスが黒い煙を吐くなどという事は過去になかったはずだ。過去にライト達が戦った個体はもちろん、他の個体のデータだってそうだ。

 ライト達だけではない、Aのコクピットにいるタクミとアライデも驚いていた。黒い煙に警戒して、ライト達同様に攻撃を中止した。そして、グロウスからガードバードAを引き離す。


「副隊長!?あれは!?」

「私もわからん!あの巨大ドブネズミがあんなの吐くなんて聞いてないぞ。サクラ、過去のデータベースと照合して調べくれ」


 ガードバードAのコクピット内でアライデにそう答えながら、タクミが基地のオペレーターのフジノ・サクラに連絡を取る。G.U.A.R.D.の本部の過去に出現した怪獣のデータベースにアクセスしてもらう為だ。


『了解しました。データベース照合・・・・完了しました。やはり、過去のデータにそういった「グロウスが黒い煙を吐く」という事実は確認されません。』


(どういう事だ!?)


 サクラからの通信を受け、出撃メンバー全員が驚いていた。(もしかして、亜種か?突然変異か何か?)とも皆考えた。しかし、今はそんな事考えても仕方が無かった。時間もなかった。

 グロウスはキョロキョロと今は少し離れた位置にいる2機の戦闘機を交互に見ている。あちらもライトやタクミ達の攻撃を警戒しているのだ。それを見てタクミがメンバーに新たな指示を出す。


「各機、あの黒い煙に注意しろ。あんなのに触れたら何が起きるかわからん。Bは攻撃対象と距離を取りつつ、ビーム兵器「ウィニング・レイ」で攻撃を続行。こちらはチャンスを伺ってOD弾頭ミサイルを発射して奴を倒す」

『了解!』


 タクミの指示にそう答えメンバー次の攻撃の為に体勢を直した。


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