恋姫達の軍隊見学!!
北郷一刀を総理とした内閣を国民はあっさりと受け入れた。
その理由の1つとして、各新聞社あてに宮内省から天皇が直筆した手紙を掲載したことが理由でもあった。
陸海軍の将校でも天皇陛下が認めているため、むやみに反対出来ず、皇道派の軍人も北郷内閣を受け入れざるを得なかった。
それに前内閣時代から、その手腕の高さが新聞に報じられており、今回の内閣の手腕を期待する報道がされている。
これは、卑弥呼らが仕掛けたものらしい。
陸軍省には多数の兵器とそれを使用・乗車して戦闘を行う兵士が集められた。
「もうすぐ陸軍省です。」
運転手はそう告げる。
車内からも陸軍省が見えており、衛兵も確認できた。
陸軍省に入ると一刀たちは宮崎陸軍大臣に案内され、演習場に向かった。
演習場には拳銃から重戦車まで、帝国陸軍が現在使用している兵器があった。
みんなは拳銃などの銃の音に驚いていたが、一番驚いたのは九五式軽戦車や八九式中戦車などの戦車だった。
「これが、あれば無敵ではないのか?」
美羽は三国の武将が思っていたことを口にする。
「そう言うわけにはいきません。戦車を作るには大量の鉄が必要になります。日本にはその様な軍需資源が取れる土地はありません。そのため、同盟国の満洲国からその様な軍需物資を得ていますが、満洲国の近くには仮想敵国のソ連がありますし、山本海軍大臣の話ではアメリカは自国内に多数の資源地帯があるため、かなりの生産力が見込まれます。それに比べて、我が国は生産力は列強の中でも低い方です。私としては早急に工業力を上げたいところですね。」
美羽は宮崎大臣の説明に首をかしげる。
「要するに、戦車を作る速度が他の国に比べて遅いと言うことですね?」
七乃(張勲)がそう言う。
「簡単に言うとそうなりますね。あとは、他の国とどれだけ性能差で勝てるかです。」
「性能差ですか?」
「そうです。日本の近くにある中華民国軍はイギリスから購入したビッカース軽戦車などを配備していると思われますが、八九式中戦車より性能は下です。ですが、ソ連はどのような戦車を保有しているかは不明で、性能差がはっきりとしません。それが、問題ですね。」
「海軍はどうなんですか?」
蓮華の質問を聞くと宮崎大臣は渋い顔をした。
「海軍のことは、陸軍の私にはよくわかりません。私にわかるのは精々、海軍陸戦隊が陸軍の武器を使用していることくらいですかね。」
「そうなんですか。」
「あと1つ。」
「何でしょうか?」
「陸軍と海軍は仲が悪いです。先ほどの質問が私だからよかったですが、小畑中将や皇道派の将校、関東軍の将校にその話をすると、途端に機嫌が悪くなるので気を付けることをお勧めします。」
「そう言うことなら、気を付けるべきだな。」
「そうしてください。」
陸軍の見学が終わった一刀たちは横須賀鎮守府に向かった。
横須賀鎮守府には日本の象徴ともいえる戦艦『長門』と姉妹艦『陸奥』を始めとした第一艦隊と山本海軍大臣が力を入れている航空機運用を主とした航空母艦『赤城』『加賀』などの第一航空戦隊や航空母艦『蒼龍』『飛龍』を中心に編成したばかりの第二航空戦隊が配備されていた。
「大きい船だな!!!」
孫呉のみんなは軍艦を見て驚いている。
「そうでしょう。なんたって日本一いや、世界一の戦艦ですから。」
長門艦長の斎藤二朗海軍大佐は胸をはる。
「戦艦もいいが、時代は航空機が主力の時代が来る。」
そう言うのは海軍大臣の山本五十六だ。山本五十六海軍大将は連合艦隊司令長官も兼任してもらっている。
「これは、長官殿!!!」
大佐は慌てて敬礼する。
「そう、堅くなる必要はない。」
「わかりました!!」
「航空機が主力の時代とはどういうことだ?」
思春(甘寧)が質問する。
「航空機はまだまだ、未開の兵器だ。私はいつか、航空機が戦艦に変わって海戦の主力になる時代が来ると思うんだ。」
「そうだろうか。」
思春が見たのは航空母艦『鳳翔』に着艦に失敗して海に落ちて近くの駆逐艦に引き上げられる九六式艦上戦闘機だった。
「まだ、訓練が足りてないんだろう。まだまだ、これからだな。」
海軍に関しては、主に孫呉のみんなが集中して聞いていた。
最後に、ちょこっとだけ海軍陸戦隊の話もあった。
その日1日は陸海軍を見学して終了となった。