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27 動き
待ちくたびれてぼうっとしていたシュラインは、背後に人の気配を感じて振り向いた。
「やぁ。随分待たせてしまったな。」
声の主はルーカスではなく、瞳だった。
「どうしてガーランド博士が?」
シュラインは、ルーカスが急な用事で遅れ、長くなるから他の部屋に通されたと結論づけていた。
瞳が来るのは想定外であった。
彼は、軽く微笑むと言った。
「ルーカスが呼んでいる。時間もないのでな。ついておいで。」
入ってきた時と同じように、音一つ立てずに瞳は歩き出した。
シュラインは訳の分からないまま、その後をついて行くしかなかった。
その頃、クラウデオは例の男の報告を受けていた。
瞳=G=ガーランドの姿が見えない、と。
眠るにしてはいつもより早すぎる。
動きを見せた後で姿が見えなくなるということは・・・・・。
「皆を集めねばならんな。」
クラウデオは、『管理者たち』に非常招集をかけた。




