22 詰問
「話は何だい?」
テルラの部屋で瞳は言った。
「お母様、生きてるのね? どういう事になっているのか、おじ様は知ってるんでしょう?」
テルラはきつく瞳を見る。
瞳は少し困ったように眉を顰め、こう言った。
「ルーカスには、訊いたのかい?」
「・・・・まだよ。」
「だったら、私の口からは言えない。直接、訊いてごらん。」
「どうして? 知ってるなら教えてくれたっていいじゃない。」
テルラは瞳に食ってかかる。
だが、瞳は少しも動じず、穏やかにこう続けた。
「ルーカスから聞くべきことだ。他人の私が告げることではない。」
テルラは言葉に詰まった。
今まで自分が思っていたのと同じことを瞳は言ったのだ。
『母のことは父に聞けばいい』
それに反することを自分自身でしようとしたと、ここで初めて気が付いた。
テルラは視線を落とし、大きくため息をついた。
その様子を見た瞳は、しばらくしてから声をかけた。
「落ち着いたね、テルラ。何があったか知らんが、冷静でなければ正しい判断はできん。」
「・・・・・ごめんなさい。もう大丈夫。ちゃんとお父様に訊けるわ。お仕事中だったのに、邪魔しちゃったわね。」
軽く微笑んでそう答える。
「構わんよ。お前は私の娘のようなものだ。いつでも相談においで。」
瞳は、テルラの頭を愛おしそうに撫で、部屋を後にした。
その後ろ姿を眺めて、テルラは一つの決心をした。




