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No,9  手伝い

 ロバート達はショーの後片付けをし、昼過ぎには家に帰っていた。

『ドサッ』

「ぅあー! 疲れたよー!」

「お疲れさまー。次は買い物に行く? それとも、まず稼いだお金の整理からがいい?」

 ロバートが荷物を降ろしながら、シェリーに問い掛ける。

「ん〜・・・・・・。え〜っとぉ、ちょ、ちょっと待ってね? う〜ん・・・・・・」

 シェリーは散々迷ったあげく、一つの答えにたどり着く。

「お腹すいた」




「俺がよく行く店の果物で良い?」

 ロバートとシェリーは、屋台の並ぶ道を歩く。

「リンゴだけ?」

「リンゴしかいらないならね」

「いや、もっとレパートリーは無いの? 果物だけはちょっと・・・・・・」

「じゃ、今日はあちこちで盗るか」

「え!? 普通に買わないの!?」

「節約」

 ロバートは、短くきっぱりと言い切る。

「節約、なのかなぁ・・・それって・・・・・・」

「やり方は分かるよね? 一回、やってみる?」

「・・・・・・あの果物屋のおじさん、ロバートの父親・・・ってこないだ言ってなかった? いいの? こんな親不孝で」

「いいのいいの。毎日会いに行ってるんだから、それはそれで親孝行」

(いいんだ・・・・・・)

「まぁ、いっか。じゃあ、早くおじさんの所に行こ!」

「うん、そだね」

 シェリーが走り出すと、ロバートも、やや嬉しそうにシェリーの後を着いて行った。

 



「いらっしゃい! ん? 2人とも、旅人さんかい?」

「私、昨日も来たよ! 覚えてないの?」

「お前さんは覚えてるよ〜! でも、そちらさんは昨日いなかったからわかんねぇんだよ」

「初めまして、ロバートといいます」

「へ〜! 2人とも、仲良いのかい?」

 シェリーは一気に赤くなる。

 だがそれとは逆に、ロバートは至って普通だ。

「なっ・・・・・・!? 何をいってんの!? おじさん!!」

「そうですよ、オヤジさん。俺たちが仲いいのは当然ですよ! な? シェリー」

 ロバートは笑顔でさらりと言う。

 シェリーが慌てて何か言おうとすると、果物屋のオヤジが大声で叫ぶ。

「へ〜! カップルで旅ったぁ、あっついねぇ〜!!」

「そう言えばオヤジさん、俺たち、これからも旅を続けるために、お金を稼がなくちゃいけないんです。今日一日、ここで働かせてくれませんか?」

 果物屋のオヤジは考え込む。

「んー・・・・・・。いいけど、強盗や詐欺には気を付けろよ。昨日だったっけ、顔も見てないやつに果物、特にリンゴをありったけ持っていかれちまったよ」

「そうですか・・・・・・。それはお気の毒に・・・・・・」

 やった本人が言った言葉とは思えないほど、その言葉には感情がこもっていた。

「まぁいいや、とりあえず店任せるよ。

ただし、一時間ごとに様子見に来るからな。変な気はおこすなよ」

「「は〜い!!」」

 2人は、とてもいい笑顔で返事をした。

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