表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/60

No,6  金持ちの住宅街

 二人が来たのは、金持ちの家が多く立ち並ぶ住宅街の中心にある公園だった。

 豪華な噴水まである。

「よし、ここにしよう!」

 ロバートとシェリーは、なぜか落ち葉や小石を手いっぱいに持っている。

「シェリー、俺、準備してるから、金持ち連中呼び出して来てくれ。『外で、今からおもしろいことをします』とか言えば、たぶん人集まるから」

「・・・・・・メンドクサイ」

「だったら約50000Cの稼ぎは全部俺だけの物・・・・・・」

「それでは行ってきま〜す!!」

「うん、いってらっしゃ〜い」

 そう言ってロバートは、とてもいい笑顔でシェリーを送り出す。

 しばらくして、シェリーの声が遠くから聞こえてきた。一応頑張って、金持ち連中を家から引っ張り出しているようだ。

 ロバートはふっと笑って、それから自分の準備に取りかかった。




「ロバート! お客さん連れてきたよ!」

 シェリーは、茶髪のセミロングをなびかせながら、ロバートのほうに走ってくる。

「おかえり〜。たくさんいるね」

 シェリーの後からは、高級そうな服を身にまとった金持ち連中がぞろぞろと付いて来る。

「・・・ロバートの準備って、その帽子置くだけ?」

「そうだけど・・・・・・それがどうかした?」

「それだけだったら、手伝ってくれてもいいじゃない!!」

「俺が行ったら、みんな忘れて誰もこないよ?」

「うっ・・・・・・。それもそうだね。じゃっ、はじめようよ!」

「うん、そだね」

(シェリーって、結構アホだ。俺がついてっても、シェリーの事は憶えてるから別に大丈夫なんだよね・・・・・・)

 ロバートは、内心でシェリーの事を笑いながらショーを始める。

「それじゃあ皆さん!! ご注目下さい!! これから私共が、見た事のないような、奇想天外なショーを始めます!! どうぞ、ご覧下さい!!」

 ロバートは、シェリーが驚くほどの大声で言う。

「それでは、まず一つめ! ミス・シェリー、前へどうぞ!」

「えっ、私!?」

 金持ち連中の目が、シェリーに向けられる。

 ロバートは小さく頷く。

 シェリーは、取りあえずロバートの所へ行き、小声で話しかける。

「なんで私もなのよ」

「その方が、都合がいい」

 ロバートは短く返事をして、ショーを進める。

「それでは、ミス・シェリー、そのへんの落ち葉を踏みながら歩いて下さい」

 シェリーは、言われたとうりにする。

『クシャッ』

 乾いた、いい音がした。

「それを、今度は私、ロバートが同じ事をしますので、よ〜くみてて下さい」

 金持ち連中は、ある程度静かになり始めたので、大声を出す必要はなかった。

『クシャッ』

 ロバートが落ち葉を踏むと、シェリーの時と同じ、いい音がした。だが次の瞬間、まだ少しうるさかった金持ち連中とシェリーが絶句する。

 踏み潰されて粉々になった落ち葉が、一つ一つざわざわと動き出し、くっついて、元通り、潰される前の形になった。

 数瞬の間、誰も声を出す事が出来なかった。そしてロバートは、二ッと笑う。

「この奇想天外な出来事、どうでしたか?」

 金持ち連中は一斉に拍手したり、あらかじめ用意されていた帽子に、 大量のお金を投げ入れたりする。

「皆さん!! どうもありがとうございます!! ありがとうございます!!」

 ロバートは拍手がやむまでずっとそうしている。その傍らで、シェリーは唖然としている。

 少し、拍手がおさまってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ