なんばー50 戸惑う子
「・・・何ですか、この結果は。この身長でこの体重は、痩せ過ぎにも程があるでしょう」
「・・・そ、そうなんですか・・・・・・? ・・・あの・・・・・・」
「はい?」
グレイはクラウドの縄を持って歩きながら、首だけ後ろに向けて振り返る。
その表情を見ながらも、クラウドは遠慮がちに恐る恐る尋ねた。
「僕は・・・今から、どこに行くんですか・・・・・・?」
「一応、予定では牢部屋ですが・・・少し待っていて下さい」
何かを思い付いたような様子で縄から手を放し、懐から、任務に使う通信機ではない通信機器を取り出す。
「・・・こちらNo,0118です。博士、通じてますか?」
『聞こえているよ。今日はクラウド君の付き添いじゃなかったのか? どうかしたのかね?』
「そのクラウドさんなんですが、しばらく私の所で預かってもよろしいでしょうか?」
『何? ・・・何かあったのか?』
「医者の話では、クラウドさんの右目は小さい頃に傷付いて、父親以外の何者かに適切な治療を受けたようです。ですがそれからしばらく経った今まで不潔な環境にいたので、これからはちゃんと清潔な環境が整った所で生活させるよう言われました。なので、クラウドさんの牢部屋の設備を整えていただけますか? それまでなら、いつまででも私の所で預かっておきますので」
横で訳も分からず首を傾げているクラウドを尻目に、グレイはさっさと話をまとめていく。
『ああ、そういうことなら構わない。今から伝えて・・・そうだな、2・3日で終わらせるよう言っておこう』
「ありがとうございます、博士。多忙な中、こんな事で時間を取らせて申し訳ありませんでした、それでは」
『ああ、それじゃあ』
そう言って、ブツリと機器の電源が切られた。
話の内容は短く、クラウドでも理解出来る程。
「あ・・・あの・・・・・・?」
「さ、行きましょうかクラウドさん。案内しますよ」