No,5 新たな真実
次の日。
二人は朝食、昼食を食べ終え、コーヒーを飲みながらゆっくり昨日の話の続きをしていた。
「そういえば、俺、まだシェリーに話してない事があったんだ」
「え、何〜?」
「俺、人の記憶には残らないのと同じように、もう一つ特技っていうか特徴っていうか、まあそんな感じのがあるんだ」
「え、何!? どんなの!?」
シェリーは興味津々と言う顔で聞いてくる。
「俺、生まれた頃から・・・いや、母親のお腹の中にいる時からの事を完璧に憶えてんだ」
「・・・・・・へ・・・・・・?」
当然だが、リアルな反応。
「お腹の中の音、外で誰かが話している事、あと、母親のお腹を蹴った回数もちゃんと憶えてる」
「す・・・っごぉ――い!! なんで!? なんで!?」
「理由はまだ言えないけど、生まれたその時から母親の記憶には残ってなかったな」
シェリーは少しムッとして聞く。
「昨日からよく言ってるけど、なんで今言えないの? どうしたら教えてくれくれるの?」
ロバートは、少し考えて答える。
「今言えない理由は、シェリーがあまり俺の事を知らないから。あと知らなくても良いから。俺の事を大体分かってくれれば、全部教える事も出きるよ」
「だから今、ロバートの事を知ろうとしてるのに、ロバートが全然教えてくれないんじゃない!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
ロバートがシェリーをなだめると、シェリーは取りあえず深呼吸して、また尋ねる。
「どうすれば、教えてくれるの?」
「・・・俺の頼み、聞いてくれる?」
「うん」
ロバートは、じっとシェリーの見つめて、言う。
「俺も、シェリーと一緒に旅をさせてくれない?」
「え・・・・・・? 一緒に旅するの?」
「うん。そう」
ロバートは、コクコクと頷く。
「ぃやったぁ――!!」
『ビクッ』
いきなり大声で叫ぶシェリーに、ロバートは一瞬びくりと肩を震わせる。
「い・・・いいの? そんなあっさり決めて・・・・・・」
「大丈夫大丈夫!! 私はロバートと旅できるし、色々聞けるから!!」
「・・・そっか、ありがとう、シェリー」
「・・・・・・あ・・・・・・」
「ん、どうしたの?」
「私、お金ないんだった・・・・・・。どうする?」
そしてまた、自覚のない上目遣い。
「・・・ぷっ」
ロバートは、シェリーの言葉にぷっと吹き出す。
「わっ、笑わなくてもいいじゃない!! なによ、も〜!!」
ロバートは、少し笑いをこらえながら話す。
「い・・・いや・・・・・・。とりあえず、今いくらあるの? まずはそれからだ」
「・・・笑わない?」
「うん、(たぶん)笑わないから、ほら」
「・・・1500C」
≪Cは通貨です。イメージ的には、Cに縦線2本足した感じです。クレアと読みます。≫
「ぶっ・・・くくくっ・・・・・・!!」
ロバートは、できるだけ笑うのをこらえているようだが、その笑い声ははっきりと聞こえる。
「笑わないって言ったのに〜!!」
「少なっ! モンノスゴイ少なっ!! あはははは!!」
ロバートは、こらえきれずに笑い出す。
「ひどいよ〜・・・笑いすぎ〜・・・・・・」
「くっ・・・ふふっ・・・ご、ごめん、本当に意外な程少なかったから・・・・・・」
「どっちにしてもひどいよ〜・・・」
「よしっ!! じゃあ、お金稼ぎに行きますか!!」
ロバートは自分の分のコーヒーを一気に飲み干し、すっと立ち上がる。
「え、どこに行くの?」
シェリーが聞くと、ロバートはにっと笑う。
「金持ちが住んでる住宅街だよ」