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No,4  自己紹介

 小鳥の囀りが聞こえてくるような朝の森の中。

 そんな中にある一軒の家から、昨晩泊っていった旅人を起こすロバートの声が静かに流れた。

「朝ですよ、起きて下さい」

 ロバートは毛布に包まったシェリーを起こす。

「ん・・・んん〜・・・・・・」

「憶えてますか? て言うか、起きてますか?」

「ん・・・憶えてるし、起きてるよ・・・・・・」

(ま、これで憶えてなかったら、俺はただの変態扱いだな)

「朝食できてるけど、取りあえず食べますか?」

「食べる!!」

 シェリーがいきなり元気になり、バッと起きあがると、ロバートは後ろの方を指差す。

「あっちのテーブルに用意してありますから、どうぞ、食べても良いですよ?」

「ぃやったぁー!!」

 シェリーは毛布を跳ね除け、ロバートが言ったところへ走り出す。

「・・・・・・」

 最初唖然としていたが、やがてフッと笑う。

(変な奴・・・・・・)

 ロバートはシェリーの後を追ってテーブルに座る。

「いっただっきまぁ〜す!!」

(早っ!?)

 シェリーはフォークを手に朝食を食べ始める。




 数十分後。

「あぁ〜! 美味しかった〜!」

 ロバートはとっくに食べ終わり、シェリーの分の皿も洗い始めている。

『ザ――ッ・・・』

「・・・・・・」

 シェリーがロバートの背中をじっと見ていると、ロバートは少し振りかえって尋ねる。

「どうかしましたか?」

「いや・・・、一人暮し長いのかな――と思ってさ・・・・・・」

「今年で、合計8年くらいですから」

「長っ!? 何才からやってんの!?」

「11歳の頃からですが、それが?」

「えぇ〜!? なんでそんな小さい頃から!?」

 ロバートは少しの間、黙り込む。

(・・・あれ? 訊いちゃいけない事だったのかな・・・・・・?)

「あっ、あの、答えたくないなら別に・・・・・・」

「今は教えられないけど、いつか教えてあげますよ」

 突き放すようなロバートの物言いに、今度はシェリーが黙り込む。

「ほかに質問は?」

「え?」

「訊きたい事があるなら、出きる限りですが教えて上げられますよ?」

「い・・・良いの?」

「知り合い以外で俺の事を憶えている人は初めてですからね。色々気になる事もあるでしょう?」

「うん! ありがと! ・・・その前に、その喋り方直らない?」

「敬語は嫌いですか?」

「ん――・・・。聞き慣れないからかな」

 ムーッと考え込むシェリーに、ロバートは一呼吸おいて、話し出す。

「じゃあ、よろしく! シェリー!」

 ロバートは先程とは違う喋り方で話し、ニッと笑う。

 シェリーも嬉しそうに、ニパッと笑う。

「うん! よろしく、ロバート!」




 その後シェリーは、いくつかの質問をしてみたが、

 11歳の頃からの一人暮しの理由と同じく、大体は「今は言えない。いつか教えるよ」と言って返された。

 唯一分かった事と言えば、誕生日が1月17日であること、家事全般はできる事、今19才であること、身長体重は計っていないこと、 髪が少し長いのは、切るのが面倒だったからという事、・・・etc・・・。

 詳しい事はそんなに教えてはくれなかったが、シェリーのことをいくつか聞いてきた。

 誕生日は知らないという事、家事は出きるがあまりやらない事、今17歳である事、身長体重は教えないという事、セミロングのその髪は伸ばしている途中という事、・・・etc・・・。




 その日は二人とも、他愛のない話をしながら一日を過ごしたのだった。

 ちなみに、この日もシェリーは、金欠でロバートの家に泊まらせてもらったらしい・・・・・・。

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