ナンバー39 犯罪者は・・・シェリー?
さすがにあんな急な攻撃を、しかも頭に受けたシェリーは、軽くよろめいている。
「・・・っと、大丈夫?」
その肩を後ろから支えたのは、ロバート。
「ってアレ!? さっき、随分先の方にいたんじゃ・・・・・・!?」
「元オリジナルナンバーだから、俺」
「・・・鬼・・・・・・」
「そろそろ、頭大丈夫?」
「なんか頭おかしいけど大丈夫?って言われてるようでムカつくけど、一応、もう大丈夫」
「・・・ん」
ロバートは、シェリーの肩を支えていた手を離す。
「・・・なんで、おとなしくジープで待ってなかったの? どっちにしても・・・もう遅い。この国は今すぐ出よう」
落ちていたリンゴをシェリーに渡し、ロバートは自分のリンゴをかじりながらさっさと先を行こうとする。
「ちょ・・・っと、待ってよロバート!!」
言いながらロバートの服の裾をギュッと引っ張り、引き止める。
「・・・何? できるだけ急いだほうがいいんだけど・・・・・・」
「なによ・・・何で私がいたらダメなの!?」
ロバートはサッと辺りを見まわし、シェリーの耳元で小さく言う。
「シェリー、少し声が大きい。・・・自分で分かってない? ”人は自然に生き、自然に死ぬべきだ”なんて宗教で埋め尽くされたこの国・・・シェリーはこの国で俺の治療をした。・・・針と糸買いに行った時、多分色んな人に治療のできる場所とか、治療用の薬の話とか訊いてまわってなかった?」
「確かに・・・私、色んな人に聞いてまわってた。・・・連れが大怪我した、とも・・・・・・」
そこまで言うと、シェリーの顔が青くなる。
「やっぱり・・・・・・。・・・なら、さっさとこの国を出よう。治療禁止のこの国で、それを破ったシェリーが見つかったら面倒だ。見つかる前にさっさと・・・・・・」
ロバートがシェリーの背に手を添えて歩き出そうとすると、その先を、いきなり国の住人に阻まれた。
この国の犯罪者であるシェリーが、見つかってしまった。