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ナンバー32  お話終了。

「・・・あれ? でも、1度捕まったのにどうして今ここにいるの? 手足が使えない状態で逃げる事は出来たの?」

「いや、枷を付けられたのは、捕まって1ヶ月くらいまでだった。俺がまた脱走をしたのは、1年半後、ルーディー達の捕獲任務に派遣された時。丁度ルーディー達の居場所も分かったし、実験塔にいた1年半で体力を取り戻し、また実力をつけ、脱走するには絶好の機会だった。でも・・・その前夜にグレイが俺の部屋に来た。俺の考えに気付いて・・・・・・」

「止めに来たの?」

「いや、違う。・・・なんて言うんだろうなぁ・・・宣戦布告?・・・『どこへ逃げても、私は必ず捕まえに行きますから。その時も戦おうと言うのなら、手加減はしませんよ』って言われた」

「返事は?」

「あれ? その気になるトコ?」

「イヤ、ただなんとなく・・・少し気になって・・・・・・」

「別にいいけど・・・・・・ただ、『1番強いのは俺。バーカ。』ってだけ。で、その次の日に任務で出るフリして、脱走した。」

「・・・ん? この前グレイが来た時いた人みたいな、一応銃持ってるってだけの兵は居なかったの?」

「いや、居なかった。ルーディー達はオリジナルナンバーの人間ではないから、戦う事はできない。・・・でも一応、実験塔の秘密を知る人物。・・・まぁ、本人もそれを知ってるってだけで、他に広めるつもりはない。だからそれを博士達に言って、もし俺以外の人間が捕獲任務に行くことになっても、少なくとも死ぬ事はないように頼んだ。それなら装備兵は要らないなってなって、任務は俺1人になった。・・・サンタニアにある俺の家の中、地下倉庫に銃とかの装備が結構そろえられてたの覚えてる? アレ、任務に出る前に大方実験塔から盗んできたやつなんだ」

「それで、またルーディーさん達の所に行った、って感じ?」

「ん。・・・そんな感じ。それからはまた、ルーディー達を助けたりしながら旅してた」

 シェリーはなんとなく下を向き、黙り込む。

「どうしたの? シェリー」

「・・・そんな悲しい旅、やめようと思った事はないの?」

 シェリーはまっすぐにロバートの目を見つめて言う。

 ロバートは初め戸惑ったが、やがて

「さあね・・・・・・」

と言って首をすくめるだけだった。

「・・・・・・」

 それでも納得いかないシェリーを無視して、ロバートは淡々と話す。

「そして何ヶ月か前にサンタニアに来て、ルーディー達は定住した。それに合わせて俺もそこで空家を見つけて定住して、で、今に至るってワケ」

 ロバートはこれでおしまい、とでも言うように、膝にかけていた布団にゴソゴソともぐりこむ。

 その音や布団に伝わるロバートの動きで、グレイはゆっくりと起き上がる。

「ん、たった今終わったけど・・・・・・。グレイ、今日泊まってくんだよね? どうする? 寝室はあと1部屋だけだし・・・・・・。・・・俺、隣の部屋のソファで寝てくるから、グレイはここで・・・・・・」

 ロバートがベッドから降りようとすると、それを止めるように、

『トンッ』

と、ロバートの胸を押し、そのままベッドに押し倒す。

「大丈夫ですよ、ロバートはここで眠ってても」

 体力のないロバートの体は簡単にベッドに戻されてしまう。

「・・・じゃあ、グレイはどこで寝るつもり?」

 ロバートは、自分がそれほどまでに体力が落ちているのを知ったのと、グレイに抵抗できなかった事に苛立ちを覚える。

「どこって・・・もちろん、シェリーさんと一緒に決まってるじゃないですか」

「はっ!?」

「へっ!?」

 ロバートとシェリーは同時に声を上げる。

「イヤ、別にシェリーさんに変なコトをしょうなんて考えてるわけじゃなんですよ?」

 グレイは、後ろからシェリーの首に腕を絡める。

 シェリーはどうしていいのか分からず、オロオロとしている。

「絶対ダメだ!! シェリーハッキリ断って!!」

 ロバートはガバッと布団から起き上がる。

「あ、あの・・・グレイ、私・・・・・・」

「私、ロバートが小さかった頃のこととか全部知ってるんですけど・・・・・・、知りたくないんですか?」

 グレイは、シェリーの耳元でボソリと言う。

「じゃっ、ロバートおやすみ〜♪」

 シェリーはシュタッと方向転換をして部屋を出て行こうとする。

「ちょっ、シェリー!? あとグレイ!! 余計なことは話さなくていいから!!」

 グレイの言葉が聞こえたらしい。

 ロバートは必死でグレイとシェリーを引き止める。

 それでもシェリーは、ヒラヒラと手を振って、笑顔で出て行く。

 それを追ってグレイも出て行くが、その前にドアから顔を出して一言。

「大丈夫ですよ、ロバートの彼女には手を出したりしませんから」

『パタンッ』

 2人が出て行き、ロバート残された部屋はシンと静まり返る。

「・・・彼女じゃねぇ――――――!!」

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