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ナンバー31  グレイの白髪の理由

長いです。

 少しの間、部屋の中では誰も声を出さず、

 ロバートもグレイの髪をいじり続けたまま、しばらく黙っていた。

「・・・・・・その時、さ」

ロバートはポツリと言う。

「その時俺を捕まえに来たグレイは、髪が真っ白になってて、前見た時よりも、ずっと長くなってた」

「・・・え? 元から白かったんじゃなかったの? 長さはともかく・・・・・・」

「いや、少なくとも11歳の時、俺が脱走する時までは黒髪で、長さも今の俺と同じくらいだった。・・・俺は初めて前と違うグレイを見た時、自分の頭がとうとう狂ったのかと思った。生まれた時からの親友がまるっきり女のようになってたんだから、当然だ。・・・そんなグレイが出てきたんで、戦うかどうか迷ってた俺は、アッサリグレイに負けた。・・・いや、単に旅してる間、俺が訓練できる時間なんてものがなかったからかも知れない。・・・それで、とりあえず俺は、その時初めてグレイに負けた」

「・・・負けたってことは、捕まったってこと?」

「ん。そう。グレイに半殺しにされて動けなくなった俺は、実験塔に連れて行かれた。・・・途中で逃げられないよう、手枷足枷をつけられた状態でね・・・・・・。実験塔に着いてからは、本格的な治療が行われた。俺は他のオリジナルナンバーの人間と違って、自己回復力を上げる薬を投入されていない。そのせいで、治療する期間が長かった。・・・それでも俺の治療は着々と続けられ、後は『しばらくは外さない』と言われた手枷、足枷の跡だけになった。・・・治療が終わると、俺は用意されているという自室に案内された。そこにたどり着くまでの道のりでなんとなく分かったが、俺の部屋は5年前、俺が脱走する前と同じ、グレイの隣の部屋だった。中も出て行ったときのまま、多少整理されていたけど、さすがに5年も放置されたままだったらしく、ほこりだらけだったな。当然だけど、両手両足が不自由なままじゃ掃除どころか、普通に生活することすらできない。・・・ということで俺はしばらくグレイの部屋で生活してたんだけど・・・・・・、ソコんトコは別に詳しく言う必要はないか」

「え!? ソコちょっと気になるよ!?」

「ヤダ。俺も少し眠くなってきたから、さっさと説明して寝る」

「う――・・・・・・。じゃあ暇な時でいいから、いつかちゃんと話してね?」

「ヤダ。んじゃ、続きから説明――・・・・・・」

「うわっ! 即答して話始めないでよ!」

「うるさいなー。グレイが起きたらどうすんの?」

シェリーはチラリとグレイを見る。

先程までグレイの髪をいじっていたロバートの手は、いつの間にか、

反対の手で組まされていた。

「・・・っと、ゴメン、ロバート・・・・・・」

「起きないみたいだし、別にいいよ。・・・本題戻るよ。しばらくそんな感じで不自由なまま過ごしていたけど、1ヶ月くらい経ってから、やっと枷を外してもらって、俺は自室に戻った。それからはまた、前のように任務をやらされた。けど、決定的に違うことが1つあった。・・・前はほとんどの任務がグレイと一緒にやるのが多かったんだけど、なぜかそれが、ほとんどなくなっていた。・・・グレイに聞いたら、その謎がすべて解けた。俺の任務は変わらず、そのままだったけど、グレイの任務の内容が大きく変わっていたからだった。俺の場合は、既に決まっている要人や、その家族の皆殺し。けどグレイの場合はまだ未確定の人物から情報を聞き出し、そいつが要人だと判断したなら、その場で家族もろとも皆殺し。そして、その情報を聞き出すには、女の姿で近づくほうが早い。・・・だからグレイは実験塔の命令で、髪を伸ばすことになった。ついでに、どの国に言っても、ターゲットの要人に怪しまれないように、髪は何色にでも染まるよう、実験塔開発の色染料をつかって、真っ白に染め上げられた。あと、これとは別の薬も創られて、新しく伸びる髪も白くなるようになった。・・・さすがの実験塔も人間の体のつくりを組替えるのは難しいらしい。一応、グレイは今も男のまま。・・・未完成ではあるけど、もう立派な女スパイが、俺と同じ任務をやることがあまりないのは、当然のことだったんだ」

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