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ナンバー26  意外な訪問者

 その数分後。

 1人の男がその2人の部屋を訪れる。

「こんにち・・・あれ?」

 ドアを開けたのは、黒装束ではなく、ゆったりとした私服を着たグレイだった。




(あ・・・れ・・・・・・? ・・・グレ・・・イ・・・・・・? なんでここ・・・に、いるんだ・・・・・・? ・・・あ・・・ぁ、夢・・・か・・・・・・)

 ロバートは薄く開いた目を静かに閉じる。

「・・・・・・」

「じゃない!!」

「ぅわっ!?」

 急に起き上がるロバートに、額の濡れ布巾を取り替えていたグレイが驚く。

「・・・急に起きないで下さい、熱が上がりますよ?」

 グレイは落ちた濡れ布巾を拾いながら言う。

「・・・なんでここに?」

「いいから、今はちゃんと寝て下さい」

 ロバートは少しムッとしながら、素直に横になる。

 その額に、グレイは冷たい濡れ布巾を乗せる。

「・・・なんで、ここにいるの? また、任務で俺を連れ戻しに?」

「いいえ、今日は任務じゃありませんよ。任務の時以外の行動は自由ですし。しばらく任務が入る予定がないので、様子見っていうか、遊びにっていうか、暇つぶしにっていうか・・・・・・。

まぁ、そんなところですね」

「・・・傷は、治った?」

 ロバートは、グレイの表情を見ながら言う。

 ・・・そう、サンタニアでグレイに怪我をさせたのはロバートなのだ。

 そして、そのロバートを怪我させたのも、グレイ。

「・・・あぁ、全然大丈夫ですよ。実験塔の連中が、私の傷をそのままにしておく訳がないでしょう。・・・それに比べて、ロバートの傷は酷いですね」

「・・・誰のせいだ」

 ロバートは小さく悪態を付く。

「・・・あれは任務だから、当然ですよ。ロバートが実験塔を出て行くとき、言ったでしょう」

 グレイは困ったように笑う。

「・・・シェリーは?」

 ロバートはグレイの話を無視して、キョロキョロと辺りを見まわす。

 ベッドの上では、あまり視界が広いという訳ではないが。

「ああ、シェリーさんもロバートの近くで倒れていたので、こちらのベッドに寝かせていますよ。まだ、目は覚めていないはずです」

 グレイは少し横にどきながら、後で眠っているシェリーを指差す。

「んじゃ、俺をここに寝かせたのはグレ・・・じゃなくて、No,0118か」

「・・・言ったでしょう、今日は任務で来たんじゃないんです。普通に、名前で呼んでも構いませんよ・・・・・・。私をグレイ、と呼んでいいのはあなただけなんです」

シェリーさんも、と付け加えると、グレイはやんわりと笑う。

「・・・サンキュ。じゃあ、グレイもあなたとかって言わなくていいよ。他人のようで、俺は好きじゃない」

「・・・はい、そうですね。・・・そういえば、ロバートが倒れていたのはなんとなくは解りますけど、なんでシェリーさんまであそこで眠っていたんですか? なにかあったんですか?」

「・・・あ――・・・・・・。何て言うか、こう・・・・・・。・・・ま、とにかく色々あってさ」

 ロバートは、あからさまに適当に言っているのが解る。

「え、ちょっとロバート!面倒臭がらないで下さいよ!」

「え・・・・・・、やだ。メンドクサイ」

 グレイはフウッと息をつくと、疲れたように言う。

「・・・簡単にでいいんで、説明して下さい。あの状況が未だによくわかっていないんです」

「・・・昨日右肩の傷縫って、疲れて寝て、起きたらなぜか服を・・・、ぬ、脱がされてて・・・・・・!」

 ロバートは自分の顔が熱くなるのを感じて、布団を頭からかぶって顔を隠すようにする。

「・・・ぷっ・・・くく・・・・・・! っふふふふふっ・・・・・・!」

「な・・・・・・!? 何笑ってんだよ、グレイ!」

 ロバートはグレイの笑い声を聞いた瞬間、また急に起き上がる。

「いやぁ・・・そういうところは相変わらずですねぇ♪」

「性格がそんなにコロコロ変わってたまるか!!」

「『リリー』を除いては、でしょう?」

「・・・まぁね、アイツは俺の人格じゃないけど」

 ロバートは少し移動して枕の上に座り、後ろの壁にもたれかかる。

「・・・あれ・・・・・・?」

 ロバートがふと顔を上げると、今までグレイの体で隠れていたシェリーと目が合う。

 先程まで眠っていたはずだが、今は起きていて、ヤバイ・・・という顔をして冷や汗をかいている。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 2人共冷や汗を流しながら黙り込んでいると、グレイは首をかしげて振り返る。

「・・・あ・・・・・・」

(話を聞かれていたのか・・・・・・)

 グレイはフウッと息をつくと、ロバートの方に顔を向ける。

「ロバート、シェリーさんにまだ何にも話していないんですか?」

「・・・全っ然」

「・・・それじゃ、今から言うつもりはありますか?」

 シェリーは何が起こっているのか分からず、涙目で交互に2人を見渡す。

「・・・わかった」

 ロバートは目を伏せ、ボソボソと言う。

「実験塔のこと、リリーのこと・・・・・・。あと、シェリーの聞きたいこと全部。・・・言うよ」

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