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ナンバー25  笑われ続けた男の結末

「遅かった! ・・・ロバートぉ―――!!」

『タタタタタタタタタ・・・ガッ』

「んぎゃっ!!」

 シェリーはキッチンに入った瞬間、何かに勢いよくつまずく。

「・・・何、やってんの・・・・・・?」

 シェリーがつまずいたのは、床に座り込んでいるロバートの足だった。

「いっ・・・たぁ〜・・・・・・! って、あれ? ロバート?」

 シェリーは転んだ時にぶつけたのか、赤くなった額をさすってる。

「とりあえず、大丈夫?すごい音したけど・・・・・・」

 ロバートは、一応自分のせいだと言って、シェリーを起こすのを手伝う。

「・・・ぷっ!」

 シェリーは、ロバートの姿を見て吹き出す。

「んなっ!? ・・・人見て笑うって・・・失礼な・・・・・・」

「ぷくくっ・・・だ・・・だってっ・・・・・・ロッ、ロバートがっ・・・・・・! エッ、エプロッアハハハハハハハハハハハハ!! ハハハハハハハハ!!」

「ああ、エプロンね・・・・・・。今、服汚れてるから・・・・・・」

「アハハハハハハハハハハハハハハハ!! すっ・・・ごい似合ってる〜!! さっきは恥ずかしがってたくせに、エプロンはいいんだ〜!!」

「さっ・・・さっきのは関係ない!!」

 シェリーはここにきた目的を忘れ、ケタケタと笑う。

「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 ロバートはムッとして立ち上がろうとする。

「もういい・・・・・・転びに来ただけなら、もういいでしょ。俺は続きを・・・・・・」

 ロバートは立ち上がると同時に、ふらりと倒れそうになる。

『ゴンッ』

 ロバートは食器棚に頭を勢いよくぶつける。

「・・・・・・!」

 ロバートが頭を押さえてうずくまると、シェリーの笑いは余計に激しくなる。

「キャハハハハハハハハハハハハハハ!!ロバートッ・・・熱あるのに、頑張っちゃダメでしょ〜!?」

「は・・・・・・? ・・・・・・熱・・・・・・?」

 ロバートは頭を押さえていた手を額に移す。

 しばらく額に触れたままだったが、やがて手を下げてゆっくりとシェリーの方を見る。

「シェリー・・・・・・早く言えよ、アホ・・・・・・」

 すると、シェリーはまたも大笑い。

「ニャハハハハハハハハハハハハハハハ!! おんなじ傷―――!! ロバートにも―――!!」

「・・・・・・」

(殺したいほど憎いって、こんな感じなんだろうか・・・・・・。うるさいから、しばらく寝かせとこ・・・・・・)

 ロバートは倒れないようにゆっくりと立ち上がり、壁づたいに歩いていく。

 そして、笑っているシェリーに気付かれないように静かに部屋から出て行った。




『・・・ガチャッ』

 ロバートは少しして部屋に戻ってくる。

 手には、『クロロホルム』と記されたビンを持っている。

「ハイッ! チーズ!」

『パシャッ』

 ドアを開けた瞬間、カメラを持ったシェリーに写真を撮られる。

「ロバートがエプロン着た記念写真〜!」

 シェリーは、カメラを下げてケタケタと笑う。

 ロバートは、ブチ切れそうになる自分を必死で押さえ、ドアを閉める。

「シェリー、俺の看病で疲れたでしょ? そこのソファで休んでたら? コーヒーできたら呼ぶよ」

 シェリーは相変わらず笑い続けたままだったが、素直にそこに座る。

「アハハハハハハハハハハハハハ!! ロッ・・・ロバートのエプロンので・・・! 私ッ・・・ぷくくっ!ずっとテンション上がりっぱなしィ〜!!」

 シェリーが座ったのを確認すると、ロバートは持っていたビンのフタを開け、それを適当な布に浸す。

「シェリー、ちょっとこっち向いてみて」

「なぁ――・・・・・・」

『ガクンッ』

 ロバートが相変わらず笑い続けたままのシェリーの口元に、持っていた布を押し当てると、数秒も経たないうちに眠り始める。

「・・・くか――・・・・・・」

 シェリーが寝息をたて始めると、先程の笑い声が響いていたのとは違い、とても静かな部屋になっていた。

 一応寝てはいるが、シェリーの顔だけはしっかり笑ったままだった。

「とりあえずは静かになったし・・・これでいいか・・・・・・」

『コトッ・・・・・・』

 ロバートはビンをテーブルに置き、キッチンへ向かおうとする。

 だがその足元はふらつき、

『・・・ドサッ・・・・・・』

キッチンに着く前に倒れてしまう。

(・・・あー、クソ・・・・・・。熱のせい・・・か・・・・・・)

 ロバートは熱に浮かされ、朦朧とする意識の中、静かに眠りについた。

 

 というより、気を失ってしまった。

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