ナンバー24 ふと目覚めれば、そこには
「・・・・・・」
ロバートが目を開けると、天井に吊らされた、灯りのついたランプが目に入る。
(・・・そうか、あれは夢だった・・・・・・。また・・・あの夢・・・・・・)
ロバートはしばらく天井を見つめる。
だが急に体に冷たいものが触れ、声を上げてそこを見る。
「ぅうわあ!?」
そこには、上半身の服を脱がされた自分の体と、その体を濡れた布巾でふいているシェリーがいた。
シェリーはロバートと目が合うと、しばらくきょとんとしていたが、自分の手元とロバートの顔を交互に見渡し、頬を真っ赤に染める。
「キャア――ッ!!」
「『キャア――』は俺だから!!」
ロバートはソファから起き上がり、その辺に落ちていた自分の服をあたふたと着る。
「イヤ――!! ゴメンナサイぃ――!!」
シェリーは赤くなった顔を隠すためか、両手で顔を覆い、色々な事を大声で叫んでいる。
「もう服着たから大丈夫だよ・・・・・・」
シェリーは両手で顔を覆ったまま少し指を開き、周りを見渡して、最後にロバートを見る。
すると安心したのか、ほっとして手を下げる。
「あぁ〜、ビックリした〜! 本当に死ぬほどビックリした〜!!」
『ポンッ』
「・・・俺も」
ロバートはフ――ッとため息をついて、後ろからシェリーの頭を優しく叩く。
『ポンッ・・・ポンッ・・・ポンッ・・・ポンッ・・・』
何度もそれが続くとシェリーは不思議に思い、振り向く。
「ロバート、何して・・・・・・」
シェリーが言いながら首を後ろに向けようとすると、それは頭に乗せられたロバートの手によってもとの位置に戻される。
「ちょっ、ちょっと、ロバート!?」
「なに――?」
シェリーはムリヤリ首を後ろに回そうとするが、やはりそれは敵わない。
「う〜・・・・・・。あっ、そだ!」
『ガッ』
「あっ!?」
シェリーは頭に乗せられたロバートの手に掌ていをし、素早く振り向く。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
シェリーはロバートの顔を見るとピタリと動かなくなる。
ロバートは舌打ちすると、顔を隠すように口元を手で覆う。
手や前髪で隠されたその顔はかすかに赤い。
「・・・ロバート・・・・・・?」
「・・・・・・」ロバート
ロバートは顔を隠したままシェリーの呼びかけに答えず黙り込む。
だがシェリーはかまわずに質問をする。
「・・・えと・・・、さっき私がロバートの服を、ぬ・・・脱がして・・・・・・、あの・・・・・・もしかして、それで赤く・・・・・・?」
「・・・ハイ・・・・・・ゴメンナサイ・・・・・・」
指の間から見える頬は、この会話でさらに赤くなったのが分かる。
「い、いや・・・、謝らなくてもいいんだけど・・・・・・」
シェリーもつられて赤くなる。
「じっ、じゃあ俺、腹減ったから何か作るけど、シェリーも食べる!?」
ロバートは話を変えようと、パッと明るく話し出す。
口元を覆っていた手は離したが、まだ顔が赤いままだった。
「う、うんっ! あ、私はさっきちょっと食べたから大丈夫! コーヒーだけお願い!」
シェリーがあたふたと返事をすると、ロバートはわかったと言いながら、こちらも同様、足早でキッチンへと消えていった。
1人残ったシェリーは、先程までロバートが寝ていたソファに、音をたてて座り込む。
「うっわ――!」
(正直言ってビックリしたぁ――! ・・・ちょっとはロバートのことわかってきたつもりだったのに、急にあんなトコ見せられて・・・・・・なんか意外。)
「ん――・・・・・・」
シェリーは座っていたソファにゴロリと横になる。
(いや、でもそれで合ってるのかも。もともとロバートは1人暮らしで、基本的には人前ではは・・・裸どころか、男同士でも半裸になれないのかも。・・・あっ! だったら私ってば、なんてことしちゃったんだぁ〜!? いっ、いや、あの時は熱あったし、汗すごかったから・・・・・・。・・・・・・ん? ・・・・・・熱? ・・・・・・)
「・・・ぁあ!! ヤバイ!!」
シェリーは大声で叫びながらソファから飛び起きる。
『・・・ガタ―――ンッ』
奥のキッチンから、急に大きな音が聞こえてきた。