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ナンバー23  ロバートの夢

グロテスクな表現が含まれています。

苦手な方はご注意ください。

 俺は、久しぶりに夢を見た。

 それは6年以上前、俺が実験塔で、まだ被験体として使われていた時だろう。

『No,0117』

 それが俺の呼び名だった。

 今は、毎日やっていた殺しの任務だ。

 今回の任務は俺一人。

 今日の任務の内容、それは

  

 ある一家の、皆殺しだった。




「やっ、やめてくれ! 誰なんだ、君は!?」

 俺は黒装束の格好で、小さな子供を抱いた父親らしき人に銃口を向ける。

「うわあ――! うわあ――ん!」

 父親に抱かれた子供は、俺の姿を見てずっと泣き喚いている。

『ドンッ・・・ドンッ・・・ドンッ・・・ドンッ・・・』

 俺が引き金を引くと、ずっと騒いでいた父親と子供の頭の上半分ははじけ飛び、物言わぬ屍となる。

 心臓に向けて撃った弾も命中し、流れ出た血が俺の足元まで広がる。

『ピチャッ・・・』

 俺が後ろを向き、1歩踏み出すと、水たまりのように広がった血がはねる。

 足元の血から視線を上げると、目の前には包丁を持った、母親らしき人が目に入った。

「しまっ・・・・・・!?」

『ドンッ・・・』

「ぐっ・・・・・・!!」

 俺が銃を撃つ一瞬前に、母親に刺されてしまった。

 そのせいで俺の狙いは外れ、弾は母親の腹部に当たる。

 俺も腹の左のほうを刺され、痛みで銃を手放してしまう。

 母親の腹からも俺の腹からも、次々に血が流れ出ていく。

(早く・・・・・・止めを・・・・・・!)

 だが俺が銃に手を伸ばすと、一瞬先に母親に取られてしまう。

 その時、俺は気付いた。

 いつの間にか、周りは血の海で、真っ暗な闇になっていた。

 少し深いその血の海はドス黒く、段々と俺の体力を奪っていく。

「あなたへの・・・一発が・・・まだ残ってる・・・・・・」

 目の前の母親は俺に銃口を向けている。

 俺は急いで懐からナイフを取り出し、その母親の両手を斬り落とす。

 俺は止めに、その母親の喉にナイフを突き立てた。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・」

『バシャッ』

 急に、何かが俺の体を押さえ込む。

 見ると、それは血の海から生えた何十本のの腕だった。

 全く動く事が出来ない。

 また目の前で、腕が生えてくる。

 だがその手にはそれぞれ、俺のマグナムが握られている。

―――――― 一発・・・マダ残ッテル ――――――

『ドンッ』

 一発撃つと、弾は俺の右腕に当たる。

「うぁっ・・・・・・!!」

―――――― 一発・・・ ――――――

 血の海から、また何本か腕が生えて、銃口を俺に向ける。

『ドンッ』

『ドンッ』

『ドンッ』

『ドンッ』

『ドンッ』

 弾は、右腿・腹・左手首・左肩にあたり、最後は右の頬に一発かする。

―――――― マダ残ッテル ――――――

 暗い闇の中からは、俺が先程殺した母親の声がひっきりなしに聞こえている。

 最後に残った腕が、その銃口を俺の眉間に狙いを定める。

「・・・・・・の・・・せいだ・・・・・・」

―――――― アナタヘノ一発ガ マダ残ッテル ――――――

「・・・全部、俺のせいだ・・・・・・」

『ドォンッ・・・・・・』

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