表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/60

ナンバー21  イジメ合戦

 数秒後。

「へ〜ぇ、俺の血まみれの姿に見とれた、か。へ〜ぇ」

 ロバートは、わざとらしくシェリーをいたぶる。

 シェリーは顔を真っ赤にして、プルプルと震えている。

「うるさいっ!! 別にいいでしょ!? 私がどう思っていようと!!」

 シェリーは噛み付くように怒鳴る。そんなシェリーを見て、ロバートは一瞬静かになる。

「・・・・・・ぷっ、あははっ!!」

 ・・・もはや、好きな子をイジめる小学生のようだ。シェリーはム――ッと言いながら、怒っている。

「もういいでしょ!? 早く縫合終わらせちゃってよ!!」

「・・・へぇ〜い」

 ロバートは、いまだ笑いを含んでいる声で、だるそうに返事をする。

「ったく、もー!!」

 シェリーは、静かに息を付く。

 急に、シェリーの前にロバートの手が差し出される。

 よく見るとその手には、シェリーが買ってきた針がある。

「シェリー、俺右手使えないから、代わりにこれ消毒して」

「えっ? どうやって?」

「・・・ダサッ・・・・・・。えと、ほら、さっきシェリーの腕消毒する時に使ったやつ」

「ちょっ・・・・・・!? 何よ、ダサッて! スゴク酷い!!」

 シェリーはロバートの小声での文句を聞き逃さず、ツッコミを入れる。

「別に、気にしなくてもいいのに」

「・・・余計に酷いよ・・・・・・」

 シェリーはブツブツと言いながらも、ちゃんと消毒をしている。

「終わったら、糸通して俺に渡して」

「うん、わかった。・・・はいっ、できたよ!」

「ん。ありがとう」

 ロバートはそれを左手で持つと、早速縫い始めようとする。

「ちょっ、ちょっと!? 麻酔は!?」

「・・・我慢する」

「我慢って・・・・・・。・・・もういいや、じゃあ、左手で縫えるの?」

「俺は両利き」

「やりにくいなら、私がやるよ?」

 ロバートは少し迷って、答える。

「・・・ん。じゃあお願い」

「・・・了解」

 そう言うとシェリーは、ロバートに、ソファに寝るようす。

 ロバートは普段なら肘を置くところに頭を乗せ、ゴロリと横になる。

「えっとさ、普通に、服縫うときみたいでいいの?」

「まぁ・・・・・・、そんな感じかな」

「・・・あいかわらず適当ね・・・・・・」

 シェリーは少し呆れ顔で言う。ロバートは少し考え、そうかもしれない、と言う。

 シェリーはクスリと笑い、その辺のタオルを取る。

「麻酔ないから痛いよ? 叫ばないように、このタオル噛んでてね」

「・・・俺、タオル噛むの嫌いだな・・・・・・。・・・んぶっ!?」

 シェリーはニッコリ笑って、ロバートの口にタオルを突っ込む。

「おとなしく・・・してようね・・・・・・?」

「・・・んぐ・・・(・・・はい・・・)」

 シェリーはそれを見て、嬉しそうに笑う。

「よしっ! じゃあ始めるよ!」

「ん」

 ロバートは短く返事をして、タオルを噛みしめる。

『ギリッ』

 奥歯からは、鈍い音がする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ