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第8部:分析⑥——低すぎる賞金と買い叩かれる権利

コンテストの構造的問題は、評価基準や運営方法だけにとどまらない。賞金そのものにも、根本的な問題がある。


賞金10万円——その意味するもの


一般的な新人賞は10万円程度(カクヨムコンテストの大賞賞金は100万円)である。


これは、日本の平均的な大卒初任給(約20〜25万円)の半分にも満たない。アルバイトの月収程度の金額だ。にもかかわらず、この10万円と引き換えに、作品の全ての権利が角川に譲渡される仕組みになっている。


10万円で買い叩かれる「可能性」


ここで考えてみたい。


もし、あなたが『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』を生み出すだけの才能を持っていたとして、その全ての権利を10万円で売りますか?


答えは明白だ。「いいえ」である。


本当に優れた才能を持つ作家は、自分の作品の価値を理解している。彼らは10万円で権利を売るようなことはしない。むしろ、そのような条件を提示する出版社に対して、「この出版社は作品の価値を理解していない」と判断する。


この賞金が「フィルター」として機能する構造


10万円という賞金は、ある種の「フィルター」として機能している。


· 才能があり、自分の作品に自信がある作家 → 応募しない

· 自分の作品に自信がない、または「どうせ売れない」と思っている作家 → 応募する


つまり、この賞金制度は、才能ある作家を排除し、そうでない作家を集めるという、逆説的な結果をもたらしている。


角川は「才能を発掘する」と言いながら、実際には「最も才能のある層を最初からふるい落とす」仕組みを自ら作り上げているのである。


「10万円で全権利」という異常な条件


他の業界と比較してみよう。


· 音楽業界の新人発掘コンテスト:賞金+レーベル契約(権利は交渉制)

· 映画業界の脚本コンテスト:賞金+製作サポート(権利は部分保有が一般的)

· IT業界のハッカソン:賞金+開発支援(知的財産は参加者に帰属)


これらと比較して、「10万円で全権利」という条件は、明らかに異常である。


この条件が、才能ある作家を遠ざけ、結果として角川の作品群の質を低下させていることは、否定できない。

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