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第5部:分析③——コンテストのインフレーション

もう一つの構造的問題は、コンテストそのものが「インフレーション」を起こしているという点だ。


年間10万作品以上の「供給過多」


カクヨムでは、毎年十数ものコンテストが開催されている。各コンテストには数百から数万の応募作が集まり、年間の応募総数は推定10万作品以上に達する。


これは、単なる「多数」ではない。市場が消化できる能力をはるかに超えた供給である。


落選作も市場に流通する


さらに深刻なのは、コンテストに落選した作品の多くが、そのままカクヨムや「小説家になろう」といったプラットフォームで公開され続けるという点だ。


つまり、コンテストで選ばれなかった作品も含めれば、年間10万〜20万作品が市場に流通していることになる。これらの作品は、多くが「無料」で読める状態にある。


同質化する作品群


そして、これらの作品の内容は、驚くほど似通っている。


· 異世界転生

· チート能力

· ステータス画面

· ハーレム

· 悪役令嬢

· 婚約破棄


テーマが固定化され、プロットや設定がパターン化されているため、読者は「どれも同じように見える」という感覚を持つようになる。


結果として、どの作品も「個別に評価される」のではなく、「大量の類似品の一つ」として消費される。


希少性の喪失


市場において、価値は「希少性」によって生まれる。しかし、カクヨムのコンテストは、希少性を破壊する方向に機能している。


· 多数の作品を生み出す

· 類似した内容が氾濫する

· 読者は「どれも同じ」と感じる

· どの作品も特別視されない


この構造の下では、たとえ「大賞」を獲得した作品であっても、「数ある類似品の中の一つ」という認識を超えることは難しい。

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