表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/35

scene11 -対面:生徒会長 ド正義-


ぼくたちが番長室を出ると

学校内の至る所から喚声と怒号。

そして足音や殴打の音。そして悲鳴が響き渡っている。


人と人との抗争。殺し合いが、実際にその場にいると

こんなにも緊迫したものだったなんて予想以上だ。


ぼくたちの姿を見つけた白黒熊が

ドアの前に座り正面を見据えたまま話しかけて来る。

「お話は終わったみたいですね。」

「番長から、君たちを丁寧に見送るようにという言葉をいただいています。」


「・・ありがとうございます。」

ぼくはぺこりと頭を下げると

愛玩式さんと一緒にその場をあとにした。

白熊黒さんは、そんな僕たちをただ黙って見送ってくれた。


生徒会室は、本校舎教職員棟の3階だ。

職員用玄関から入るか、本校舎3階の渡り廊下を通るか。

どちらにせよ暴徒たちとの接触は避けられないだろう。


ただ、建物内は逃げ場が少なすぎる。

愛玩式さんは自分の能力で身を守っているが

捕われ監禁される可能性もあるし

何よりもぼくの命が危ない。


僕たちは体育館側から校舎の外に出て

慎重に職員棟玄関へと向かった。


職員棟玄関前の広場はすでに

番長グループと生徒会グループの乱闘の場となっている。

とても玄関からの侵入は難しそうだ。


「どこか侵入できそうな窓とかないかな…。」

僕たちは職員棟の外壁から窓を確認するが、どこもカギがかかっている。

窓を割って侵入したら、ガラスの割れる音で人を集めてしまうだろう。

「困ったな…。どうしようか。」

身を隠して悩んでいたぼくたちから、そう遠くない場所で怒鳴り声があがった。


「おい!そこのてめえら!!」

ぼくたちに向けられたその言葉。

ぼくたちはとうとう見つかってしまったのだ。


がたいの良い男2人がぼくたちの前に立ちはだかる。

これは…たとえこの人たちが普通の人間でも

ぼくには敵いっこない武闘派の人たちだ…。

「こそこそを中をのぞきやがって」

「てめえら番長グループか??」

どうやらこの人たちは生徒会に味方する人らしい

生徒会はこんなに物騒な人種まで味方につけているのか…。

愛玩式さんは…能力で傷付く事はないはずなのに

ぼくの背中に隠れ、顔を青くしてガタガタ震えていた。


「答えられねえって事は少なくとも俺たちの同胞ではなさそうだな。」

「それなら”怪しくは罰せよ”だぜ!!」

男のひとりがぼくに向かってバットを振りあげる。

思わず強く目をつぶり、訪れるであろう衝撃に身を固くした。


でも…いつまでたってもバットは振り下ろされない。

少しだけ目を開けて彼らを見ると、顔を真っ青にして恐怖の顔でぼくたちを見ていた。


うわぁぁ!と逃げ出す男たち。

・・よくわからないけど

なんとかぼくたちは命をつなぎとめたんだ。


ぐっぐっと愛玩式さんがぼくの服を引っ張り、窓を指さす。

・・ぼくたちの目の前にあった窓が少し開いている。

カラカラと小さな音を立てて窓はすんなりと開いた。

おかしい。さっきは確かに窓のカギも閉まっていたはずなのに。


不思議な事ばかりだが、

とにもかくにもぼくたちは職員棟への侵入に成功した。


その後も何度か危機には遭遇したが、

みんなぼくたちを見て逃げて行ってしまう。


そんな事を繰り返しているうちに、ぼくたちはとうとう

生徒会室前に到着した。


生徒会室前には当然。

多くの暴徒が集まり騒然としていたが

それらを、ある男がたった一人で取りなしていた。


生徒会長の親友。用心棒とも言えるであろう

陸上部部長・ハンマー投げ全国大会優勝者

範馬慎太郎(ハンマシンタロウ)】その人だ。


学園内最強とも言えるだろう類まれなる身体能力。

筋肉隆々の身体はまさにパワー系最強の名がふさわしいお人だ。


そんな彼が扉の前でワイヤー付きの鉄球、ハンマーをぶんぶんとぶん回しているのだ。

あれに近づける人間なんて。いや。魔人にだって不可能だろう。


「おん?」

範馬先輩がぼくたちに気付き声をあげる。


ふん!とハンマーを暴徒の集団のド真ん中にぶん投げると

暴徒たちは蜘蛛の子を散らすように鉄球を避け逃げまどう。


「君!坂井くんだろう!待っていたぜぇ!」

範馬先輩は威勢の良い声でぼくたちを呼び寄せる。

飛んできたハンマーの軌道上に

人の波が避けてくれたので道ができている。

ぼくたちはその道を走り抜け、先輩の前に立つ。


「遅刻だぜ2年生!VIP出勤だなあ。」

がはははと豪快に笑いぼくらを迎えてくれた。


「すみません…。あの、会長にお目通りをお願いしたいのですがよろしいでしょうか。」


「おう!・・と言いたいとこなんだけどな。」

「この扉を任された門番として、俺もお前の器を見極める必要があるってもんよ。」

先輩の言葉にぼくは息を飲む。


「なあ。お前。ほんとに魔人なのか?」


「・・いえ。ぼくは人間です。」

「なんでそんな噂が立ったのか。僕自身も心当たりはありませんが。」


そう言うと、先輩は少しだけうーんと考え続けた。

「ひょっとして君さ。うちの副会長から告られた?」


ぼくはその言葉に思わず激しい動揺を見せてしまった。


「そんで、彼女を振ったわけかい。」

先輩はニヤリと笑う。


「聞いて良いか?なんであいつを振ったんだい?」

先輩の言葉にぼくは恐る恐る答える。


「ぼくは…。ぼく自身が彼女と合わないというか。」

「彼女が高根の花だからとかそういんじゃなくて。」

「なんとなく、彼女はぼくと世界の見え方が違ってて。」

「彼女の見ている世界がぼくには受け入れられない気がしてて。」


先輩はにやにやとぼくの顔を見ている。


「ごめんなさい。よくわかんないですよね。」

「つまり結局は…」

「ぼく。あの人なんとなく怖いんですよね。」

ぼくはちょっと笑ってみせた。


「がははははは!」

それを聞いた先輩がひとしきり豪快に笑う。


「気に入ったぜ2年生坊主!通んな!」

先輩の言葉に、ぼくは深くうなずき

彼の横を通り抜けようとする。


「待ちな!!」

急に半間先輩が大きな声を出す。


「お前はに通って良いと言ったつもりはねえんだなあ。」

「白黒熊太山。」


先輩の言葉にぼくはぎょっとした。

番長グループ副番白黒熊さん?

先輩は急に何を…。


その時ぼくは気付いた。

ぼくと愛玩式さんのあいだ。

ちょっと後ろにある

長さ2メートルほどの宙に浮かぶ糸切れ。


その糸切れが勢い良く膨らみ

白黒熊さんの形を成していく。


「…やはりあなたの目はごまかせませんでしたか。」

「あわよくば。俺も、この子たちと一緒に会長にお目通りいただこうとしたのですが」

「その前にあなたとの決着はどうしても避けられなそうですね。」


パワー系2人のにらみ合い。

その威圧感だけで、体中に鳥肌が立ち体がガタガタと震えてくる。

範馬先輩がくいとあごでぼくたちに合図をする。

早く入れという事だろう。

ぼくたちはその場から逃げ出すように

生徒会室へ飛び込み扉を閉めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ