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他人に害をなすのだから、せめて悪人であろう  作者: りょっぴー ぴあ
終章

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7年後

北の魔女が北の大陸に逃げてから7年が経った。

あの頃と比べると色々変わった。

まず、あの戦いで片腕を失ったジェイドはその後一命をとりとめ、帝国騎士を止めて騎士たちの剣術師範に異動した。

そしてアマリアは帝国筆頭魔法師に、カイは帝国筆頭騎士になった。

彼らには色々変化があったのに、私はあのころと変わらず朝早くに起きて朝食を取っている。

私以外誰も居ない静かな部屋にドアのノック音が響く。


「どうぞ」


私がそう答えると、扉を開けてアマリアとカイが部屋に入って来た。

帝国は2年前に1つの研究結果を発表した。

いわゆる加護無しと呼ばれる存在について、その存在は魔法神の加護が無い代わりに魔力を直接エネルギーに変換できる体質であり、加護のある者と比べて身体能力に優れる、より魔法に依存しない形に変化した個体である。

いわゆる魔女と呼ばれる白銀髪のエルフについて、その存在は魔法の才に優れ、その膨大な魔力量の影響で髪の色素が影響を受けた個体である。


「おはようございます、ナナミラ様」

「おはようございまーす」


アマリアは元気いっぱいに、カイは少し気だるそうに挨拶した。

私は口に入っていたものを飲み込んで、2人に1つ質問をする。


「いつも言っている気がしますが、まだ出勤時間ではないので、こんなに早く来る必要はないのですよ?」

「確かにそうですけど私、ナナミラ様とおしゃべりするの楽しいので、ついつい来ちゃうんですよ」

「ジェイドさんに何か言われた訳じゃ無いんですけど、俺はコイツが1人でいると何をしでかすか分からないので」


カイの言葉を聞いて、アマリアが言い返す。


「私を子供か何かだと思ってるの?」

「違う。正確にはガキだ」

「一緒じゃん!それに、私もう20歳だから、ガキじゃないから」

「ん~?この間楽しそうに城の廊下でペットの小型魔獣と走り回って使用人に迷惑かけてたのはどこのどいつだ?」

「そ、それは…」

「魔法実験室を爆破したのは?」

「うっ」

「魔法師に手本を求められたから張り切って、城の壁に穴を空けたのは?」

「…うるさいバカ!」

「お前、成長したのは体だけで、全然語彙力成長してねぇよな」

「…えっち」

「そういう意味じゃねぇよ」


今回はカイが勝ったようだ。

いや、勝ちなのか?

朝食を食べ終わり、私は一度2人を連れて自室に戻った。

今日はアマリアに伝えなければならない事がある。

7年前、魔女と約束した事についてだ。


「アマリア、今日はあなたに話さなければならない事があります。ルミアさんについてです」


何故か少し緊張して、少し硬い物言いで始めた。


「ルミアさんですが、実はあの時ただ逃げたのではなくて…」

「ルミアお姉さんはもう居ないんでしょ?なんとなく分かってました」


そう言うアマリアの瞳は、真っ直ぐ前を向いていた。


「いなくなっちゃったのは悲しいけど、私はもう前を向いています。今の私が目指しているのは、今後生まれてくるであろう私と同じ白銀髪のエルフや、カイと同じ加護無し、亜人の人達が過ごしやすい、居心地が良いと思えるような帝国を作ることです。そうすればきっと、もうお姉さんみたいな人は生まれないと思うから」

「そうですか…期待してますよ、アマリア」

「はい!」


7年背負っていた重荷が肩から降りた。

この7年間ずっと考えていた。

この事を伝えたらアマリアはどんな反応するのか。

でもそんな事を考える必要な無かった。

彼女はもうとっくに前を向いていた。

なら私も、二度とルミアさんのような人を生まないように私にできる範囲でできる事を。


「カイ、今日の予定は?」

「とりあえず今から皇帝に会って先日の件の報告。それからは下町で孤児院の視察だ」

「分かりました。それでは行きましょうか」


アマリアとカイを連れ、早速謁見の間へ向かう。

私が変えられるのは帝国だけだ。

だけど、カイとアマリアと協力して帝国を変えられたら、変化のは世界に広がっていくはず。

私達で、絶対に変えて見せる_




ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

読んでよかったと思っていただけたら幸いです。

評価などしていただけると今後の励みになりますので、評価しても良いという気がありましたらよろしくお願いします。

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