本日はペコペコ侍とぽんぽん侍が、アホのマチ殿に代わって申し述べるでござる☆
ペコペコ侍が背伸びをして部屋のドアを開けると、ぽんぽん侍がマチのベッドから飛び降りて出迎えた。
ぽん:ペコペコ殿、おはようございます! ご機嫌いかがですかな?
ペコ:このアパートへ来る前に、ネコと戦って大変だったでござるよ!
ぽん:ネコとは手ごわいですなぁ~! それで戦いの結果は?
ペコ:拙者は刀を抜いて応戦しましたが、ネコのほうがほんの少し手が長くて、ネコパンチでやられたでござる!
ぽん:ネコパンチとは手痛い! 我らの身の丈がもう少々大きければ、ネコとも互角に戦えるのですが!
ペコ:おっしゃるとおりでござる! して今日のマチ殿のご機嫌はいかがかな? お姿が見えぬが?
ぽん:マチ殿なら「今日はエッセイを書く時間が取れないから、代打をたのむ」と。
ペコ:昨日の一件がよほどショックだったでござるか?
ぽん:昨日の一件ですか? 拙者は聞き及んでおりませんが? なんでも今日は彼氏殿が「ディナー・バイキング」に連れ出してくださるそうで、すでに出立されました。
ペコ:なんと!? ばいきんぐへ行くなら、我らを招集して攻略会議を開くのが当然のはず! なぜマチ殿は会議もせず無策でばいきんぐへ行かれたでござる!?
ぽん:それが今回のグランヴィア京都ホテルのディナー・バイキングのメインは、国産紅ずわいがにの食べ放題らしく……!
ペコ:なんとまぁ! 国産紅ずわいがにの食べ放題でござるか? 豪勢にもほどがありますぞ!
ぽん:そうなのです。あまりにも豪華すぎて、「勝てる気がしない……。会議をしてもムダだよ……」そう言ってマチ殿は凹んでいました。
ペコ:かにはカラを剥くのに手間がかかりますからなぁ!
ぽん:不器用なマチ殿は「剥いてる間におなかいっぱいになって、他のモノが食べられないに決まっている」そうおっしゃって、挑む前から敗北ムードで……。
ペコ:たしかブリのしゃぶしゃぶもあったと聞き及んでおるが?
ぽん:国産牛肉のローストビーフもありますし、特製おでんに京都のおばんざいも各種……。
ペコ:寿司職人が目の前でお寿司を握ってくださる趣向とも聞いてござる。
ぽん:今回も負けるでござるな。
ペコ:前回と同様、ほとんどのお料理が食べられなくて泣きながら帰ってくるでござるな。
ぽん&ペコ:お気の毒に……。
ぽん:そういえば昨日の一件とは、なんですかな?
ペコ:あわや大惨事だったでござる! 一触即発でござった!
ぽん:何事が起きたのですか?
ペコ:マチ殿は心配していた4日間連続勤務が終わり、2日間の休みにはいったので浮かれてたでござる。
ぽん:貧血がひどくて働けるかどうか心配しておられたからなぁ! 無事に休みになられて、よほどお喜びだったでしょう?
ペコ:朝からウキウキで洗濯などなさって、ご機嫌さんだったでござる。
ぽん:それは本当に良かったですな!
二人の侍は、嬉しそうにウンウンと頷きあう。
ペコ:浮かれて家事をしていたら、鉄のフライパンの焦げが気になったようで……。
ぽん:マチ殿が大事にしているフライパンですな? 10年ほど使っていらっしゃるから、焦げもたくさん付いておる。
ペコ:その焦げが取れないかとタワシでゴシゴシしてたでござるが……。
ぽん:そう簡単には取れないでしょうなぁ。
ペコ:マチ殿はガスコンロにフライパンを置いて、火をつけたでござる。
ぽん:なるほど! 焦げを焼き切ろうとしたのですな!
ペコ:しばらくようすを見ていたのだが、何も起こらないので冷蔵庫の整理を始めたでござる。
ぽん:ふむふむ。それで?
ペコ:整理を終えたマチ殿がフライパンを見ると、ボウボウに燃えていたでござる!
ぽん:なんと!? それは一大事! またどうして火が出たのですか!?
ペコ:どうやらフライパンをチンチンに熱くした結果、油分が自然に発火したらしいでござる。
ぽんぽん侍は目を丸くする。
ぽん:ガスコンロのまわりには燃えるモノがたくさんありますよ! 油にキッチンペーパー! どれが燃えてもおかしくない!
ペコ:おっしゃるとおりでござる。アホなマチ殿は、燃えるモノをたくさんコンロのそばに置いてござる。
ぽん:アホとは言えどもボウボウ燃えている火をすぐに消したのですな!? だから無事だったのでしょう!?
ペコ:いや、それが……。
ぽん:どうされました!? マチ殿はテキパキと消火なさったのでしょう!? どうなんですか!?
詰め寄るぽんぽん侍に、ペコペコ侍はタジタジだ。
ペコ:それがマチ殿は、燃え盛る火をみてボーゼンとしたまま、固まったでござる。
ぽん:なんと!?
ペコ:そして自然に火が消えるまで、一歩も動けず……。
ぽん:ウソでしょう!?
ペコ:後になって「ビックリしすぎて、なんにもできなかった」そうおっしゃって、しょぼんとしておられたでござる(´・ω・`)
ぽん:危ない! 危ない! 危ない! 一歩間違えば、火事になっていましたよ!?
ペコ:おっしゃる通りでござる。無事で本当に良かったでござる……。
ぽん:マチ殿は本物のバカでいらっしゃるな……。
ペコ:本当に残念なバカでござる……。
二人は白目になっていたが、ペコペコ侍は何かに気付いたらしい。
ペコ:マチ殿は本日、「でぃなー・ばいきんぐ」へお出かけでござるな?
ぽん:そうです。夕刻の5時過ぎに始まるそうです。
ペコ:おかしいではござらぬか? 今は朝の8時でござる! 前回も張り切って数時間前に突撃されたが、いくらなんでも朝の8時に突撃とは早すぎるでござる!
ぽん:それがお優しい彼氏殿が「今年は紅葉を見に行く時間がなかったから、京都の紅葉を見に行こう」とお誘いくださいまして……。比叡山の電気鉄道車に乗るご予定らしく……。
ペコ:……ビビりのマチ殿のことだから、前の晩からキンチョーして寝られなかったでござるな?
ぽん:はぁ。一晩中何度も寝返りを……。
ペコ:体力ゼロのマチ殿のことだから、ばいきんぐが始まる前にへたばってしまうでござる!
ぽん:はぁ。ご本人も「今日は負ける予感しかしない。紅葉もバイキングも……」そうおっしゃって、うなだれて出てゆかれました……。
ペコ:気の毒でござる……。
ぽん:負け戦とわかって挑むのは、お気の毒ですな……。
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というワケでお出かけするので二人のお侍さんにエッセイの代打をお願いしたのですけれど、よく考えたらこれってエッセイじゃないのでしょうか?? お話の内容はどれも実話なのですけれど、エッセイとは違うのかなぁ?? でもヒューマンドラマでもないし、実話だから童話でもないし……。 適切なジャンルがありましたら、教えてください。
それでは負け戦へ行ってきます! 今日は負ける予感しかしない!!